研究課題
宿主植物と病原菌の関係においては、病原菌が標的とする、感染するために必要な宿主側の遺伝子(罹病性遺伝子)が存在する。罹病性遺伝子を欠損させた植物体には病原菌は感染することができないため、病害抵抗性に貢献しうる遺伝資源と期待される。そこで本研究では、新奇罹病性遺伝子を同定し、その機能を解析すると共に、有用作物への応用を目指す。- べと病菌が感染している細胞で特異的に発現が誘導される宿主植物遺伝子の内、過剰発現により、べと病菌に対する抵抗性を増進する遺伝子を2つ、ならびに罹病性を増進する遺伝子を1つ見出していた。手法、および過剰発現個体が抵抗性を示した遺伝子について報告した(Asai et al. bioRxiv 2023: 論文投稿中)。- 過剰発現により罹病性が増進した遺伝子(罹病性遺伝子候補)は、相同遺伝子が隣接して座乗しており、べと病菌感染時の発現パターンも同様であることがわかった。それぞれの欠損変異体は、べと病菌に対する抵抗性に影響が見られず、冗長性の影響かと考察している。- これまでに、DNAメチル基転移酵素遺伝子に導入された変異により抵抗性が付与されている変異体Ha_13-1(dde2/ein2/pad4/sid2に付加的な変異の導入)を得ていた。野生型と交配することにより、原因の変異をホモで持ち、かつDDE2/EIN2/PAD4/SID2が野生型に戻っている個体を選抜したところ、免疫機構が活性化され矮性を示し、それがNB-LRR遺伝子の活性制御に起因することを見出した。- Ps_1は、分泌型のサブチリシン様セリンプロテアーゼ(Subtilase : SBT)遺伝子に変異が見られ、SBTのプロテアーゼ活性依存的に宿主植物の罹病性が増進していることを見出していた。スクリーニングで得られたSBTの欠損変異株では、病原菌に対する抵抗性に影響が見られなかったため、配列が近いSBTの多重欠損変異株および過剰発現株を作製している。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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bioRxiv
10.1101/2023.01.17.524393
Nature Communications
巻: in press
10.1101/2022.09.21.507229
Science
巻: 376 ページ: 857-860
10.1126/science.abn0650
http://plantimmunity.riken.jp/index_ja.html