昆虫は熱帯から極地にわたって多様な環境に適応しており、この高い適応力の基盤となったものが「変態」の進化である。昆虫は変態することで個体発生の間にその形態や生理生態を大きく変化させる。変態は幼虫と成虫とが異なるニッチに進出することを可能にし、そして昆虫の著しい種分化と適応放散の原動力となってきた。しかし、昆虫がどのようにして変態する能力を獲得したのか?という問いは未解決のまま残されてきた。本課題では、この謎を解くための大きな手がかりを得ることができた。今後さらに研究を深めることにより、昆虫を含む節足動物全体の進化プロセスの解明や、昆虫の様々な生理学的形質の人為制御の道が拓かれるものと期待される。
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