研究課題
多くの動物の絶滅が危惧される中、個体数が減少していく過程で繁殖率および年齢構成がどのように変化し絶滅を迎えるのか?そのシナリオは分かっていない。個体数が多くても、集団の繁殖率や年齢構成によっては、急激に絶滅する可能性がある。繁殖率や年齢構成は集団の遺伝的多様性を左右するため、動物の生存を理解する上で重要な生態情報である。本研究では、あらゆる動物で採取が容易な糞に着目して、糞中ホルモン分析および糞DNAメチル化検出による妊娠診断および年齢推定法の確立を目指した。特に、直接観察が困難な希少ネコ科動物に着目し、集団の繁殖率、年齢構成、遺伝的多様性から各調査地の真の絶滅リスクを客観的に比較定量化することを目的とした。2020年度はイエネコおよび動物園などの飼育個体(ユキヒョウおよびツシマヤマネコ)の血液・糞により、妊娠・年齢推定法の確立を目指した。なお、サンプリングに関しては、イエネコおよび動物園個体に加えて、海外協力機関によりネパール連邦民主共和国にて野生個体の採糞を実施し、カメラトラップによる餌動物密度調査、アンケートによる密猟・報復殺数の調査を実施した。年齢推定法の確立に関しては、年齢が判明しているイエネコおよび動物園などの飼育個体の血液からDNAを抽出し、バイサルファイト処理の後、PCR増幅、シーケンスした。バイサルファイト非処理試料と塩基配列を比較して、メチル化の程度を検出した。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウイルス感染症の拡大により海外渡航などに制限がかかったが、国内の動物病院や動物園の協力の下、すでに採取済みであった血液や糞サンプルを提供いただき研究に供することで、当初の研究計画を完了するに至った。
血液サンプルで得られた結果を、夾雑物の多い糞に応用して、年齢推定および妊娠診断法を確立する。動物病院や動物園などの飼育個体だけでなく、野生下で採取した糞にも応用する。
すべて 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件)
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