研究課題/領域番号 |
20H03012
|
研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
高橋 洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 准教授 (90399650)
|
研究分担者 |
中山 耕至 京都大学, 農学研究科, 助教 (50324661)
橋口 康之 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70436517)
秋田 鉄也 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (60625507)
武島 弘彦 東海大学, 海洋学部, 特定研究員 (50573086)
小関 右介 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (00513772)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 遺伝的多様性 / 個体数推定 |
研究実績の概要 |
本研究は,脊椎動物の中で最も遺伝的多様性が低く,生活史の多くが不明である“幻の魚”アカメについて,遺伝資源の保全・管理の根幹をなすパラメータである現在の有効集団サイズ(Ne)を明らかすることを目的とする。そのために,複数年級群からサンプリングされた当歳魚の血縁関係に基づく新たな遺伝的標識再捕法の理論を構築し,それに基づいてアカメが現在何個体いるのかを推定する。得られた結果に基づき,定量的採集が困難な海洋生物の保全に新たな道筋を示すとともに,国と県で異なる本種の保全策の統一に役立つ情報を得ることを目的とする。本年度は,①高知・宮崎両県において定量的なコホートサンプリング,②半兄弟関係を検出するのに最適なゲノム分析手法の検討,そして③アカメに最適な近親標識再捕(CKMR)法の理論モデルの構築を行う計画であった。前年度までの②の結果に基づき,今年度は①の実施を最小限にして,予算の大部分を次世代シークエンサー(NGS)を利用したジェノタイピング手法(Low-coverage whole genome resequencing,LWGS)およびそのためのライブラリ作成に使用した。また③については,CKMR法による集団間の移動個体数推定法を検討した。LWGSのための安価なライブラリ作成法はHackFlex法を検討し,現在2019年の大淀川のコホートについて38個体データが得られており,そのうち8個体についてx5以上のデプスで検出されたSNPsを推定したところ947684SNPsと血縁推定に十分なSNPs数が得られている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度にGBS手法では血縁推定に十分な量のSNPs数が得られないことが判明し,安価なLWGS(低カバレッジ全ゲノムシーケンス手法)のためのライブラリ作成法を検討するのに時間を要した。また,NGSデータからSNPsを検出する過程のデータ解析にもコンピュータ計算速度の不足により時間がかかった。
|
今後の研究の推進方策 |
LWGSのための安価なライブラリ作成方法としてHackFlex法を採用し,今年度予算の大部分を本方法を用いたライブラリ構築とNGS解析に振り分け,2019年度および2020年度のコホートサンプリング分のシーケンスを今年度前半に完了する。コンピュータ計算速度の不足を解消するために,国立遺伝学研究所の遺伝研スーパーコンピュータシステムを用い,今年度後半までに全個体のSNPsデータ取得,血縁推定および近親標識再捕(CKMR)法に基づく繁殖個体数推定を行う。
|