研究課題/領域番号 |
20H03015
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
山田 晋 東京農業大学, 農学部, 教授 (30450282)
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研究分担者 |
横田 樹広 東京都市大学, 環境学部, 教授 (00416827)
三浦 直子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30647491)
山本 嘉昭 公益財団法人河川財団(河川総合研究所), 河川総合研究所, 河川総合研究所上席研究員 (70645150)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生態系サービス / 植生復元 / リモートセンシング / UAV / 大規模実証試験 |
研究実績の概要 |
河川堤防では治水機能向上のため各地で堤防の拡幅が計画・実施されている。本研究では,拡幅工事のない既存堤防において治水機能の低い植生をチガヤが優占する治水・保全機能の高い植生へ誘導する植生管理手法,また,しばしば外来種の優占化を招く堤防拡幅工事に際しても,同様のチガヤ植生へ誘導できる生態緑化手法を開発する。一方,UAVや衛星画像というリモートセンシング技術を用いて,人の踏査なしに,省力的に堤防における主要な植生タイプの面的分布を広範囲で把握する。これら植生図(どこで)と植生管理手法(どのように管理するか)に関する知見から管理計画案を策定する。さらに,この計画案を実際に大面積で試行し,得られた計画案の実現可能性を作業面から検証する。 当該年度は,既取得の堤防植生データを用いて,春季と夏季の季節植生変化を加味しつつ,堤防に成立する植生7タイプに区分した成果を取りまとめた(Yamada et al., 2023)。この区分は,堤防の治水機能の大小ならびに植物種多様性の観点から有用な区分である点で,今後の堤防植生管理にとって重要な知見となる。次に,堤防における治水機能と生物多様性維持機能の双方を加味した先進地であるヨーロッパ,とくにオランダにおける事例について聞き取りを実施し,成果の一部をYamada et al. (2023) および山田(2023)にとりまとめた。日本における在来種を用いた緑化の現状について学術雑誌で特集記事を企画し,大黒・山田(2023)として取りまとめるとともに,事例報告として,河川堤防における事例についても公表した(山本ら, 2023)。一方,リモートセンシング技術に関しては,UAV計測および現地計測データを用いて,草本類のマイクロサイトにおける光環境の評価を解析し,国際学会Geospatial Week 2023に投稿するための論文作成を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響により,一部予定を実施することができなくなったものの,代替研究を実施予定であるため。
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今後の研究の推進方策 |
①既存の堤防植生データを用いたメタ解析を通して,堤防植生の現状や,経年的に変化してきた管理変更に伴う植生変化パタンについて解明する。②堤防における代表的な植物種の一つであるチガヤに注目し,チガヤが優占する植物群落において野外試験(刈り取り試験)を実施している。ア) 刈り取り(刈り取り時期・頻度の制御を3条件)。イ) 刈草除去の有無,という2要因6条件を4反復で,各試験区サイズを2m×2mとして,野外試験を実施している。次年度は刈り取り試験継続3年目にあたる。当初予定していた3か年の当該試験期間が次年度にて完了するため,植生の変化に関する研究結果のとりまとめを実施していく。③堤防から表土をサンプリングし,埋土種子集団に関する情報を得る。④草本植物の成長過程でどのように空間占有率が変化するか把握することを目的に,すでに現地で取得した時系列のUAV画像からSfmで3次元点群を作成・解析する。さらに,空間占有率の変化と植生指数(NDVI)の変化に相関があるか検証する。
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