研究課題/領域番号 |
20H03028
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平野 恭弘 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60353827)
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研究分担者 |
藤堂 千景 兵庫県立農林水産技術総合センター, 森林林業技術センター, 上席・主任研究員 (00463414)
池野 英利 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (80176114)
檀浦 正子 京都大学, 農学研究科, 助教 (90444570)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 樹木根 / 根系深さ / 地中レーダ / 森林土壌 / スギ |
研究実績の概要 |
目的1の二周波同時地中レーダを用いて深い根を考慮した根系構造の推定を達成するため、二周波同時探査地中レーダを用いてスギの深い根の検出を試みた。名古屋大学稲武フィールド44年生スギ林にて、スギ11個体について、幹中心から25 ㎝間隔で150 cmまでの同心円探査測線を設定し、800 MHzと300 MHzの二周波同時地中レーダ探査を土壌地表面から行った。その結果、どの個体においても、800 MHzでは深さ1 m程度までにレーダ反射波が確認されたが、300 MHzでは深さ2-3m付近にも根と推測される反射波形・明瞭な双曲線を確認できた。
目的2の樹木の根の最大深さを地上部などの様々な特性から推定する手法の確立を達成するため、スギの倒木根系調査を行った。台風で倒木した人工林のスギでは、根と土壌の一体化したスギ根鉢について、そのサイズなどの特性を測定した。その結果、スギの胸高幹直径と根鉢の深さには強い関係性があることを明らかにした。また、瑞浪市大湫町で豪雨時に倒木した樹齢670年のご神木大杉の根鉢の広がり・深さを測定した。その結果、倒木した大杉の根鉢は、既存のスギ林データよりも小さく、中心部に広い腐朽も認められた。これらの結果から、根系の発達制限が倒木要因の一因であることを明らかにした。またこれらのことから巨木については、従来の樹木地上部特性を用いた根系の深さや広がりなど地下部特性の推定が難しい可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二周波同時探査地中レーダでスギ林の深さ2-3mにレーダ反射波形を確認できた。スギ根の深さおよび倒木化に関連する根鉢の広がりは胸高幹直径と関連することを明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
二周波地中レーダを用いてスギ林土壌の深層に認められたレーダ反射波形について、根の反射か否かを掘り取りにより明らかにする必要がある。根の深さを規定する要因としてさらに樹高などの地上部特性や土壌環境要因との関連性を明らかにしていく。
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