研究課題
2022年より繰り越しとなっていた、鹿児島大学高隈演習林における年利試料採取を行い、地上部純一次生産(ANPP)と窒素利用様式の品種による違いを宮崎大学演習林のスギ品種試験地と比較した。地上部成長量は早生型で大きかった。リターフォール量も早生型がやや多かったが,バイオマスあたりの量は晩生型で多かった。晩生型は光合成生産物を葉に多く配分することが樹幹の成長の遅い原因の一つと考えられる。品種によるANPPの違いは生産性の高い宮崎演習林では見られたが,生産性の低い高隈演習林では品種による違いが小さかった。リターフォールによる林床への窒素供給量は早生型でやや多かったが,窒素は地上部純一次生産を制限しないと推察された。また、2品種(早生:ヤイチ、晩生:メアサ)の肥大成長特性を網羅的に遺伝子発現レベルから理解することを目的にトランスクリプトームを解析し、形成層帯の活動時期(7月)と休止時期(11月)の比較解析を2022年に行った。早生型で発現が高い遺伝子群として細胞分裂に関与するものが多くみられ、それらは11月でも晩生型の7月における発現量より高いことが早生型(ヤイチ)の成長を特徴づける可能性が示唆されたため、GO termで紐付けされたいくつかの遺伝子についてその挙動の詳細な解析を行った。
3: やや遅れている
開始当初のコロナウィルスの影響および2度にわたる気象災害(大雪、台風)により現地調査が延期されたため。
試料調整およびデータ解析を進め、成果発表を行う。
すべて 2022
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