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2021 年度 実績報告書

13CO2パルスラベリングによる樹幹内炭素配分過程の解明と肥大成長モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20H03041
研究機関信州大学

研究代表者

安江 恒  信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)

研究分担者 香川 聡  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353635)
半 智史  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40627709)
斎藤 琢  岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (50420352)
檀浦 正子  京都大学, 農学研究科, 准教授 (90444570)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード炭素配分動態 / 肥大成長 / フェノロジー / 13CO2ラベリング / 生態系炭素循環モデル
研究実績の概要

樹木の肥大成長量や材密度の変動予測を可能とする「肥大成長モデル」の開発を行う事を目的とし,第一に光合成産物の肥大成長への配分過程の季節変動をあきらかにするための13CO2パルスラベリング実験を行った。2020年に引き続き,落葉針葉樹であるカラマツを対象に,展葉中(4月),展葉完了後(5月),肥大成長最盛期(6月),肥大成長終了後(10月)に計7個体を対象にラベリングを行った。常緑針葉樹であるスギを対象に,形成層活動中(5月),肥大成長晩期(7月),に計2個体を対象にラベリングを行った。2020年肥大成長終了後に採取したコア試料から可溶性糖を抽出し,辺材内における可溶性糖として存在する13Cの分布を測定した。2021年の成長期終了後に2020年にラベリングを行った個体8個体を収穫した。
カラマツ樹幹の放射方向におけるデンプン量および可溶性糖の変動について,非ラベリング試料を用いて、解析を進めた結果、これらの放射方向での変動パターンは時期によって異なることが明らかになった。
第二に,樹体内バイオマス成長量を観測するために,樹幹および根においてはナイフマーキング法による肥大成長経過の観測を継続して行った。スキャナ法による細根成長量の季節動態観測を開始した。幹呼吸によるCO2放出量を評価するため,スギを対象にCO2放出速度と木部分化帯幅を10ヶ月にわたり観測した。
第三に,生態系モデルを利用したスギ林における炭素循環の再現性について検討した。昨年度(2020年度)の検討の結果から、生態系モデル(BiomeBGCMuSo)を利用した幹バイオマス成長量を推定することとした。高山常緑針葉樹林サイトを対象としたパラメータ設定を実施し、炭素動態の推定精度の実施した結果、総一次生産量(R2=0.95)、生態系呼吸量(R2=0.90)、純生態系生産量(R2=0.30)の精度で再現可能であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度において,カラマツのパルスラベリング実験において,6月以降落葉病が発生したために夏季におけるラベリング実験が実施出来なかったことから,本年度に追加的にラベリング処理を行った。また,細根成長の季節変動観測については,コロナ禍のために2020年度における観測開始が出来ず2021年度に観察用ボックスの埋設を実施し観測を開始した。これらの項目においては,およそ一年間の遅れが生じている。これら以外の観測および検討については順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

2022年度においては,スギおけるラベリング実験を継続して行う。落葉病被害以前のカラマツラベリング個体について,光合成産物配分の解析を先行して行う。非構造性糖の辺材内における分布について,カラマツに加えてスギに関する測定を行う。ナイフマーキングおよびスキャナによる成長の季節変動観測については引き続き観測を行う。生態系モデルの改良については引き続き検討を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] スギにおける樹幹のCO2放出速度と肥大成長及び樹幹の形態的要素との関係2022

    • 著者名/発表者名
      平谷理人,安江 恒,荒木眞岳
    • 学会等名
      第133回日本森林学会大会
  • [学会発表] カラマツ樹幹の放射方向における非構造性炭水化物含有量の季節変動2022

    • 著者名/発表者名
      山野邊 真多、則定 優成、渡辺 誠、安江 恒、船田 良、半 智史
    • 学会等名
      第72回日本木材学会大会
  • [学会発表] 生物地球化学モデル「BIOME BGCMuSo」を用いた冷温帯スギ林における炭素収支の温暖化応答予測2022

    • 著者名/発表者名
      国本晴暉・斎藤琢
    • 学会等名
      日本農業気象学会全国大会
  • [学会発表] 気候変動が岐阜県の森林炭素吸収量に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      斎藤琢・永井信・鳥山淳平・村山昌平・安江恒
    • 学会等名
      第69回日本生態学会
  • [学会発表] 気候変動下における岐阜県の森林による炭素吸収量の将来予測2021

    • 著者名/発表者名
      斎藤琢
    • 学会等名
      名古屋大学ニューチャー・アース研究センター公開シンポジウム2021,適応と緩和・脱炭素社会

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公開日: 2023-12-25  

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