研究課題
本研究は、液体中における微小な結晶の単結晶構造解析が可能なin situ三次元磁場配向NMRシステムを新たに構築し、結晶セルロース-染料複合体をモデルとして同システムによる構造・ダイナミクス解析手法を確立した上で、同手法による結晶セルロース-セルラーゼ複合体の結合部位における局所構造とその動態を解明することを目的としている。四年目となる2023年度は、当初の研究計画に基づき次の課題を遂行した。課題(A)「in situ三次元磁場配向NMRシステムの構築」:前2022年度までにおいて、試料管の変調回転軸とその軸の一時傾斜が可能な二軸可変型の磁場配向プローブを完成させ、二次元スペクトルの取得も可能であることを示した。そこで本年度においては、三次元磁場配向した微粒子の配向方位を変化させながら同期パルスにより13C相関を検出することで、原子核周りの磁気遮蔽の効果を二次元スペクトル上で連続的に追跡することに成功した。これにより、セルロース-基質複合体に適用できるin situ三次元磁場配向NMR法を確立するに至った。課題(B)「染料系をモデルとしたin situ三次元磁場配向NMRによる構造・動態解析手法の確立」:セルロースおよび染料複合体でのin situ三次元磁場配向NMR測定に向け、セルロースの三次元磁場配向時のNMRスペクトルシミュレーションを行い、同測定により核周りの局所構造の情報が得られることを例証した。課題(C)「結晶セルロース-セルラーゼ複合体のin situ構造・動態解析」:in situ三次元磁場配向NMR測定に先立ち、量子化学計算によるセルラーゼ糖結合モジュールの磁気遮蔽計算とその磁場配向時のNMRスペクトルシミュレーションを行った。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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