研究課題/領域番号 |
20H03047
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
田中 圭 大分大学, 理工学部, 准教授 (00325698)
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研究分担者 |
森 拓郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00335225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 集成材 / スギ / 縮小試験体 / 寸法効果 / せん断強度 / 鋼板挿入ドリフトピン接合 |
研究実績の概要 |
2010年10月の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行などを背景に、木質構造の中層大規模化や、鋼構造や鉄筋コンクリート構造とのハイブリット構造化により、中大規模木造建築物の構法、構造設計法の一般化が求められており、これらの建築物の安全性を担保するためには、構造性能の確認は欠かせない。しかし、このような大型構造物を対象とした構造実験は装置や試験体の大型化、それに伴うコスト面の問題から他構造では縮小モデル試験体を用いるのが一般的である。そのため、縮小モデル試験体を用いた実験による構造性能確認とそのデータの実大スケールへの割り戻しが高精度かつ安全側に行えることが不可欠である。 木質材料分野において、JISに規定された無欠点小試験片による材料特性と実大製材や集成材の材料特性の関係については、比較的多くの研究が行われているが、節を含んだ材料特性についての縮小モデル実験については十分な実験データが得られていない。理由として、木材には力学的特性に強い異方性があり、それに加えて節などの欠点の影響から寸法効果が大きく、不確定要素が多いことも大きく挙げられる。 本研究では、大型木造建築物に多用される木質材料のうち、構造用集成材とCLTについて実大、縮小の各スケールの製作、材料実験、構造実験上重要な構成要素である基礎的な接合具の要素実験を実施し、材料異方性や寸法効果の影響を実験的に検証する。 この中でも特に、実大、1/2、1/3の集成材をJASに基づいて製作し、それを用いた逆対称せん断試験による追加試験の実施を行うとともに、せん断試験に用いた試験片を再利用したJIS椅子型せん断試験についても再検討を行った。また、鋼板挿入ドリフトピン接合の単位試験体を製作し、寸法効果の確認を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染症に伴う移動制限やその後の世界的な木材流通の混乱による木材価格の高騰(ウッドショック)で当初予定した木材入手価格の2倍以上の価格となるなどの影響により遅れていた試験体製作や実験は、その影響が薄らいだことと、製材工場の多大な協力を得たため、何とか実施することができた。ただ、当初の計画の通りのパラメータをすべて実現はできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ウッドショックによる木材価格の高騰の影響は未だ残っており、当初の計画通りのパラメータの試験体を用意することは予算的に厳しい状況は続いている。このため、地元製材工場の協力を得て、丸太の状態で諸物性を測定して、実験に適用できる木材を事前に選定してから製材してもらうなど、できるだけ入手コストを削減する工夫を実施し、できるだけ予定する実験を実施できるように努力する予定である。
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