研究課題/領域番号 |
20H03052
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
久保島 吉貴 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353669)
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研究分担者 |
加藤 英雄 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60370277)
原 忠 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (80407874)
園田 里見 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター木材研究所, 副主幹研究員 (80446640)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 木杭 / 強度特性 / 振動試験 / 端末条件 |
研究実績の概要 |
2020年12月に森林総研構内に,2021年2月に富山県木材研究所構内に施工した木杭のうち5本ずつをそれぞれ2021年11月および10月に実験に用いた。木杭の杭頭から1mの部分の周囲の土壌を掘削および除去し露出させ,木杭を片持ち梁とみなして質量付加振動法から木杭の質量を推定した。さらに木杭を引き抜き,寸法および質量を測定し,縦振動試験からヤング率を測定した。木杭の土中部分を半剛接合と仮定し,半剛接合の程度を,(共振周波数比)=(実測値)/(縦振動によるヤング率を基にした理想的な片持ち梁条件の計算値)で表した。その結果,共振周波数比が施工翌日よりも増大したため,木杭により地盤が締め固まった可能性が示唆された。質量付加振動法より推定した木杭の質量は実測値と乖離した。その原因として質量付加振動法が理想的な片持ち梁の条件を前提としていることが考えられた。従って,半剛接合の程度が質量付加振動法の推定精度に及ぼす影響を考察する必要があることが分かった。 全長の異なるモデル木杭を地上に露出した長さ(露出長)を一定にして地中に施工したときの曲げ振動の共振周波数を,海岸埋立地等を想定した砂地盤を対象に測定した。砂質土の相対密度は実地盤の緩詰め~密詰めを想定し30, 50, 80%とした。また両端自由縦振動試験よりモデル木杭のヤング率を算出した。モデル木杭の地中部分を半剛接合と仮定し,半剛接合の程度を実大木杭の実験と同様の共振周波数比で表した。その結果,地中部分の長さ(施工長)の増大と共に共振周波数比は増大し,やがて安定した。相対密度の増大と共に,安定した時の施工長は短く,共振周波数比は増大した。従って,地盤の締まり具合の違いが木杭地中部分の端末条件に影響を及ぼすと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
施工後約1年経過した木杭の土中部分を半剛接合と仮定し,半剛接合の程度を,(共振周波数比)=(実測値)/(縦振動によるヤング率を基にした理想的な片持ち梁条件の計算値)が打設翌日よりも増大したため,木杭により地盤が締め固まった可能性が示唆された。また,質量付加振動法より推定した木杭の質量が実測値と乖離した原因として質量付加振動法が理想的な片持ち梁の条件を前提としているため,半剛接合の程度が質量付加振動法の推定精度に及ぼす影響を考察する必要あると考えられた。 全長の異なるモデル木杭を地上に露出した長さ(露出長)を一定にして地中に施工したときの曲げ振動の共振周波数を,海岸埋立地等を想定した砂地盤を対象に測定した。砂質土の相対密度は実地盤の緩詰め~密詰めを想定し30, 50, 80%とした。その結果,前述の共振周波数比が,地中部分の長さ(施工長)の増大と共に増大し,やがて安定した。相対密度の増大と共に,安定した時の施工長は短く,共振周波数比は増大した。従って,地盤の締まり具合の違いが木杭地中部分の端末条件に影響を及ぼすと考えられた。 以上より,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
打設後2年経過した実大木杭の振動特性を検討する。実大木杭への質量付加振動法の利用可能性を検討する。 実際の地盤の層構造を想定し,2種類の異なる土質などの地盤特性の異なる多層モデル地盤を作製し,モデル木杭を打設する。打設したモデル木杭に対して振動試験を行い,モデル木杭の地中部分の端末条件に及ぼす土質や地盤密度の影響を検討する。地盤特性の違いと端末条件との関係性や指標を検討する。
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