研究課題/領域番号 |
20H03053
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
小沼 ルミ 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部地域技術支援部食品技術センター, 上席研究員 (90463075)
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研究分担者 |
大村 和香子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00343806)
吉田 誠 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30447510)
板倉 修司 近畿大学, 農学部, 教授 (60257988)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シロアリ / 木材腐朽菌 / MVOC / 生物間相互作用 |
研究実績の概要 |
微生物の代謝に伴って放散される揮発性有機化合物(MVOC; Microbial Volatile Organic Compounds)については、単なる代謝の副産物として放散されるだけではなく、生物間相互作用に関わる機能を持つものが知られている。申請者らは,これまでに実施した研究の中で、木材腐朽菌が菌種、培養基質、培養日数および腐朽の程度によって特徴的なMVOC成分を放散することを突き止めている。また、MVOCを介した生物間相互作用として、木材腐朽菌由来のMVOCの中からイエシロアリを誘引するMVOC成分(以後、誘引性MVOCとする。)の特定に成功している。そこで、本課題では木材腐朽菌が木材を腐朽する過程で放散するMVOC成分についての詳細を明らかにする。さらに,イエシロアリの保有する全ての嗅覚受容体遺伝子を見出し、その中からイエシロアリを誘引する木材腐朽菌由来のMVOC成分に対応する嗅覚受容体を特定することを目指し,トランスクリプトーム解析(RNA-seq解析)を進めてきた。 本年度はイエシロアリのトランスクリプトーム解析結果について遺伝子配列のクオリティーを高めることによってマッピング精度の向上を試みた。また,誘引性MVOCに暴露させたイエシロアリ個体と誘引性MVOC暴露させないイエシロアリ個体において発現変動が認められる遺伝子の探索を試みた。これまでに得られた研究成果をもとに,今年度は学協会での発表6件(国際発表1件を含む)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トランスクリプトーム解析(RNA-seq)の結果について遺伝子配列のクオリティーを高めることに成功した。この遺伝子配列にモデル生物から得られた予測嗅覚受容体遺伝子をマッピングしたところマップ率が上がり,配列の信頼性が向上した。また,誘引性MVOCへの暴露区と非暴露区での発現変動遺伝子を複数見出したことから,現在までの進捗状況を 概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでに誘引性MVOCに暴露させたイエシロアリ個体と誘引性MVOC非暴露のイエシロアリ個体における高発現遺伝子および発現変動遺伝子を複数見出している。そこで次年度は,これらの遺伝子についてさらに解析を進め,誘引性MVOCに対応するイエシロアリ嗅覚受容体遺伝子の特定を目指す。
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