海洋動物プランクトンへのウイルス感染の報告事例は極めて少なく、その生態学意義は謎に包まれている。そこで本研究は北海道紋別市オホーツクタワーにおいて毎週採集を行い、主要カイアシ類Pseudocalanus newmaniとウイルスの関係性を調査した。トランスクリプトーム解析を行ったところ、主要4種の新規ウイルスが検出された。各ウイルスはそれぞれ異なる季節性を示し、主にカイアシ類の個体数が減少する時期に検出された。また、発現解析により、特定のウイルスの存在下でカイアシ類の生理状態が大きく変化した。これらの結果からウイルスは動物プランクトンの個体群動態や生理状態に関わる可能性が示された。
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