研究課題/領域番号 |
20H03060
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
東海 正 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30237044)
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研究分担者 |
胡 夫祥 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80293091)
塩出 大輔 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (40361810)
内田 圭一 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50313391)
荒川 久幸 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (40242325)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マイクロプラスチック / ニューストンネット / 流れの可視化 / 海中密度推定 / 濾水計 / 濾水効率 / マンタネット |
研究実績の概要 |
世界でマイクロプラスチックMPs採集に標準的に用いられているニューストンネットとマンタネットの同時曳網実験の結果から、両ネットで浸水深さが異なるものの、表層に浮いているPE、PP製のマイクロプラスチックについては曳網面積あたりの採集量で標準化することで、両ネットの採集性能が同等であることを明らかにした。植物プランクトンなどによるネットの目詰まりが生じると、著しく濾水量が減少することを明らかにして、濾水計の装着の必要性を示すことができた。 0.33mm 目合vs 0.2mm (あるいは0.1mm)目の比較実験データの解析を進めて、特に繊維状MPsの選択性に及ぼす長さと太さの影響の初歩的な分析まで進み、ニューストンネットサンプリングでは、想定以上の繊維状MPsが網目を抜けて採集できていないことを明らかにした。 ニューストンネットの濾水性能と海表面における曳網動態のシミュレーションの基礎資料を得るため、ニューストンネットに用いられる平面網地について,流れに直角と平行に置いた 場合の抗力を,また流れに傾けて置いた場合の抗力と揚力を計測し,網目係数や流れに対する迎角と抗力係数および揚力係数の関係を求めた。 ニューストンネット周りの流れの可視化及び濾水量の推定方法については、回流水槽実験においてPIVを用いて、ネットの網口周辺での流れの可視化を行い、表層曳網時と中層曳網時について、流速別に網内に流れ込む水量を計測して、流速別の濾水率を推定した。 海上での曳網実験によってニューストンネットの網内流速と網口深度の挙動を計測し、網内の流速が遅れてきた際に網深度が深くなる挙動を捉えることができた。目詰まりの起きない回流水槽内での計測から、この網内の流速の遅れが海上曳網中の目詰まりの可能性を指摘でき、適正な曳網方法の提案を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
世界でマイクロプラスチック採集のために標準的に用いられているニューストンネットとマンタネットの同時曳網実験によって、浸水深さが異なる両ネットではあるが、表層に浮いているPE、PP製のマイクロプラスチックについては曳網面積あたりの採集量で標準化することで、両ネットの採集性能が同等であることを明らかにするとともに、植物プランクトンなどによるネットの目詰まりが生じると著しく濾水量が減少することから、濾水計を用いた計測が必要であることを明らかにして、英語論文の投稿が受理された。 3年目に予定されていた「二つの目合におけるMPサイズ組成の比較による標準目合0.33mmの網目選択性曲線パラメータと誤差の推定」、及び「得られたパラメータと推定誤差を用いた海中のMPサイズ組成の推定」については、すでに1年目にIF5以上の国際誌に公表できた。 同様に、最終年度に計画していた「ニューストンネット周りの流れの可視化及び濾水量の推定方法の検討」については、回流水槽実験における流れの可視化実験が円滑に進み、2年目に成果を学会発表して、論文投稿の準備を進めている。 「ニューストンネットの曳網中の姿勢及び挙動把握について」は、回流水槽実験では着実に進められおり、コロナ禍で遅れていた海上実験が進められて学会発表できるところまできている。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロプラスチックに対するニューストンネットの網目選択性の推定結果をより信頼性のあるものとするとともに、0.33mm 目合vs 0.2mm (あるいは0.1mm)目の比較実験データの解析を進めて、特に繊維状MPsの選択性に及ぼす長さと太さの影響分析を完了し、論文投稿にまで進める。 ニューストンネットの曳網中の網口挙動について、コロナ禍での海上実験を回流水槽実験とともに進めて、学会発表を行い、取りまとめて論文への投稿準備に進める。 ニューストンネット周りの流れの可視化及び濾水量の推定結果を論文として取りまとめて、投稿する。 得られた成果を論文化して、「マイクロプラスチックのモニタリング手法の標準化及び調和化に関する国際専門家会合」のメンバーに提示することで、調和化ガイドラインの更新に組 み込まれるように働きかける。
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