研究実績の概要 |
これまでの研究で、時計遺伝子の機能を詳細に理解するために、ゲノム編集技術CRISPR / Cas9システムを用いて、時計遺伝子Bmal1およびRORaノックアウト(KO)メダカの作出を試みた。各時計遺伝子KOメダカ(F2)について、ヘテロ二本鎖移動度分析 (HMA)およびシーケンシングによって変異を確認したところ、1) Bmal1-KOメダカにおいては、Bmal1遺伝子のエキソン配列上に16塩基の挿入が生じており、フレームシフトによって機能ドメイン(PAS-A, PAS-B)を欠損していることが確認された。また、2) RORa-KOメダカにおいては、RORa遺伝子のエキソン配列上に11塩基の挿入が生じており、フレームシフトによって機能ドメイン(DBD, LBD)を欠損する変異が認められた。続いて、各時計遺伝子KOメダカの雌雄(F2)を掛け合わせ、F3ホモ個体の作出を試みたが、目的とする個体は得られなかったため、当該実験は次年度も継続して行う。 KOメダカ作成の進捗が思わしくなかったため、令和4年度に計画していた実験の一部を前倒しし、異なる時間帯での病原体感染に対する免疫応答について検討した。メダカに病原細菌Edwardsiella piscicidaを明期(ZT4, ZT8)または暗期(ZT16, ZT20)に感染させたところ、明期感染区の死亡率は暗期感染区と比べ低い傾向を示した。また、明期病原体感染区(ZT8)の炎症性サイトカイン遺伝子(il6, il8, il17a/f1, il17a/f2)の発現応答は、他の感染区と比べ顕著に高いことが確認された。さらに、明期感染区の貪食活性は暗期感染区と比べ有意に高かった。
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