研究実績の概要 |
LPSを接種した時計遺伝子Bmal1-KOメダカの腎臓における炎症性サイトカイン(il1b, tnfa)の発現応答を調査したところ、同様の試験を行ったWTメダカと比べ減弱化することが確認された。これまでの研究において、上記炎症性サイトカインの転写調節領域には複数の時計遺伝子応答配列が存在することが確認されている。これらのことから、炎症性サイトカインの転写は時計遺伝子Bmal1によって制御されていることが示唆された。 昨年度に続き、時計遺伝子ROR-KOメダカ (ホモ個体) の作出を試みたが、得られる個体は早老となり実験に供試することができなかった。哺乳類において、時計遺伝子を破壊すると早老や未成熟など、様々な生理機構に変化が生じることが報告されている。このことから、本研究で見られた現象も時計遺伝子破壊によるものである可能性は高いが、今後さらなる調査を実施する予定である。 病原細菌(Edwardsiella piscicida)をホルマリンで不活化したものを免疫増強剤とし、時刻別の接種試験を行った。具体的には、LD12:12で飼育したメダカの腹腔にZT2またはZT14に上記増強剤を接種し、経時的に腎臓における炎症性サイトカイン (il1b, il6, il8, tnfa) およびToll様受容体 (tlr1, tlr5m, tlr9) の発現を調べた。その結果、ZT2に免疫増強剤を接種したメダカの頭腎におけるtnfa、il6、tlr1, tlr5mおよびtlr9の発現は、ZT14接種区と比べ有意に高いことが確認された。このことから、免疫増強剤の投与時刻によって、その後誘導される免疫応答に違いがあることが明らかとなった。
|