現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画において、HaloTag標識したSrc, AchE-R, NR2B, Gβ, r40S蛋白質をFlag標識したRACK1蛋白質と同時に細胞へ発現させることで、蛋白質相互作用を解析するとしていたが、HaloTag標識蛋白質発現ベクターの構築と種々の細胞での適切な遺伝子導入方法の確立に想定以上の時間を要しており、やや遅れている。対応策として、HaloTag標識した蛋白質発現のみではなく、RACK1との相互作用が想定される蛋白質を高感度かつ特異的に検出可能な抗体を用いた、共免疫沈降法および蛍光免疫染色と顕微鏡観察による蛋白質相互作用解析も実施することで、当初計画していたHaloTag標識蛋白質の過剰発現では細胞での解析が困難な蛋白質についての解析を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
DHAとRACK1結合部位解明のため、1から7番目のWD配列を欠損したRACK1(ΔWD-RACK1)を293T細胞に発現させ、抗Flag抗体固定ゲルを用いてFlag標識RACK1蛋白質を得る。化学修飾によってDHAを固定した磁気ビーズへのΔWD-RACK1蛋白質の結合能を解析することで、DHAとの結合に必要なWD配列を特定する。また、複数のWD配列がDHAとの結合能を有している場合を想定し、FlagタグしたWDペプチドを293T細胞に発現させ、ΔWD-RACK1蛋白質と同様の方法にてDHA結合能を評価する。 Src, AChE-R, NR2B, Gβ, r40S蛋白質について、DHAによってRACK1との相互作用が変化するかについて共免疫沈降法、蛍光免疫染色法、生物発光エネルギー転移法によって解析する。DHAによってSrc, AChE-R, NR2B, GβいずれかとRACK1の相互作用に変化が観察された場合には、Srcではヒト膀胱がん細胞株におけるアポトーシス抑制シグナル伝達について, AChE-Rでは神経細胞分化能を有する褐色細胞腫におけるアセチルコリン受容体を介したシグナル伝達について, NR2Bでは神経芽腫細胞株におけるNMDA受容体シグナル伝達にいて, Gβでは神経芽腫細胞株におけるドーパミン受容体シグナル伝達と好塩基球細胞株におけるヒスタミン受容体シグナル伝達について解析する。
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