研究課題/領域番号 |
20H03083
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
氏家 清和 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30401714)
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研究分担者 |
津田 麻衣 筑波大学, 生命環境系, 助教 (20767511)
小野 洋 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (40446480)
岩本 博幸 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90377127)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / 消費者評価 / 制度分析 |
研究実績の概要 |
ゲノム編集技術は2013年ごろから急速に発展している遺伝子改変技術であり、育種技術として食品への応用研究も実用化段階に達している。 本研究では、ゲノム編集技術に対する最適な安全規制制度と科学技術コミュニケーションのための基盤的知見の提供を目的としている。そのために、ゲノム編集食品に対する国際的かつ大規模な消費者選好調査を実施し経済理論に立脚した分析を行う。 2020年度は、ゲノム編集技術のみならず、前駆技術としての遺伝子組み換え技術に対する社会的受容も含め、既往研究を幅広く収集し、研究動向の把握と知見の整理を行った。そのなかで、技術的新奇恐怖などの影響などに、着目する必要があることが示唆された。また、COVID-19のために作業が遅れがちとなったものの、ゲノム編集食品をめぐる実態把握のため、一部のゲノム編集食品開発者、研究担当者、食品企業や消費者団体へのヒアリングを行った。ゲノム育種研究制度の分析に関しては以下3点を整理した。1.遺伝マーカーの作出が可能となった2000年代マーカー育種の実用化が進んだが、作物が限定されていた。2.2010年代以降、次世代シーケンサーの普及及びゲノム編集技術の開発によって、ゲノム解読のルーチン化が進んだが、これは同時に資本投下力が技術を規定する構造をもたらした。3.これらの結果、ゲノム育種においては、中小企業が産官学連携のもとでの研究システムに組み込まれ、独自性を発揮できる領域が減少している。次年度は、ヒアリング対象を拡大し、これまでのとりまとめを行う。 次年度以降の大規模消費者調査の参考とするため、プレ調査として小規模な消費者調査を行い、調査設計上の課題の洗い出しと対応可能性についての検討を行った。特にFood Valueについて設問と消費者選好の国際比較手法の検討を行うため、いくつかの実証研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19のパンデミックの収束が予想よりも長引き、研究計画全体に影響を及ぼしている。特に実務者へのヒアリングの進捗が遅くなった。ゲノム編集による育種技術の展開や食品へ応用についての実態把握は今後の研究の基盤となるため、この部分での進捗の遅れが全体の進行管理に影響を及ぼしている。
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今後の研究の推進方策 |
パンデミックの状況を踏まえつつ、適宜オンラインのコミュニケーションツールを活用するなど工夫をしながら実務担当者への実態調査を進め、関連事情の把握に努める。既往研究のレビューにより、調査票の骨子は固まりつつあることから、海外の研究協力者ともコミュニケーションをとりつつ、本格的な消費者調査の準備を進めたい。
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