研究課題/領域番号 |
20H03106
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
福島 崇志 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00452227)
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研究分担者 |
中野 浩平 岐阜大学, 大学院連合農学研究科, 教授 (20303513)
黒木 信一郎 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (00420505)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 青果物流通 / 負荷情報 / トラッキング / 衝撃加速度 |
研究実績の概要 |
青果物は、振動・衝撃など物理的負荷に加え、輸送時間や温度、ガス濃度などの生理的負荷など流通環境の影響を受けやすく、代謝の抑制・促進により、流通中にその価値を維持・低下させてしまう。本研究では、青果物品質を保持する流通工程管理のソリューションを提供するため、青果物流通工程における負荷情報と品質情報の経時的多次元化されたデータを基に、品質低下の数理統計的評価により流通管理技術の最適化手法の構築を目的とする。申請計画通り本年度は、下記2点について実施し結果を得た。 1 流通負荷データ特徴量の選択 青果物流通工程における負荷情報把握のため、トラッキングすべきデータ特徴量の選択方法を検討した。軟弱果実の代表であるモモを対象に、負荷情報としての衝撃加速度をどのようなデータ形式で取得すべきか、落下衝撃試験を通して明らかにした。衝撃加速度としては、最大加速度値を取得することで、果実の硬度を評価できることが分かった。 2 品質モニタリングデバイスの構築 青果物流通工程における品質変遷モニタリングを目指し、まずは複数の品質関連データを同時取得するシステムを試作した。落下衝撃前後において青果物品質の変遷が異なり、衝撃負荷による呼吸量の増加、損耗量の増加が確認された。さらに、衝撃箇所の色の変化は衝撃直後から徐々に変化し、20時間程度で色が定着した。加えて、衝撃による品質変化を反映する果実の分光特性を明らかにするため、落下衝撃後果実の近赤外分光計測を経時的に実施し、関連する波長帯を特定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
負荷データ特徴量の選択においては、衝撃加速度を対象に加速度データ形式を選択することができており、予定通り進捗を得ている。また、品質モニタリングに関しても、まずは複数の品質情報を取得するため、重量、CO2濃度変化、ケース内温湿度、果実表面温度、表面色の各項目を同時に取得可能とするケースを試作し、試験している。こちらは、次年度に向け課題もあったが、衝撃後の品質変遷を適切に把握できており、予定通り進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
申請計画では、2年度目までは共通の個別課題を継続して実施する。負荷データ特徴量については、データ項目は衝撃加速度とし、対象果実を複数用意する。また、衝撃による果実品質として硬度以外にも外観品質関連する色やアザについても同様の実験を計画し、衝撃加速度のデータ特徴量を選択する。 初年度において、落下衝撃による品質変化を反映する波長帯が明らかとなったので、それを加えたモニタリングケースを試作する。計画では、オンサイトでの品質変遷を計測する予定であったが、振動や衝撃が暴露される複雑な環境において、これらセンサ群が精度を保つことは困難である。そのため、計画を変更し、落下衝撃後の経時的変化を多次元的に捉えるようにする。
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