研究課題/領域番号 |
20H03131
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉野 利久 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (90363035)
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研究分担者 |
櫛引 史郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主席研究員 (30355218)
朝隈 貞樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 上級研究員 (50374773)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 初乳 / 乳牛 / 酸性オリゴ糖 |
研究実績の概要 |
本研究は,初乳・移行乳にのみ多く含まれ腸管免疫機能や発達に影響する酸性ミルクオリゴ糖に着目し,未だ明らかではない①初乳中酸性オリゴ糖の変動要因,②新生子牛への機能性と③機能の持続性をin vivo実験系を用いて明らかにすることを目的とし,本年度は,昨年度に実施し得られたホルスタイン種乳牛70頭の初乳および移行乳(分娩後4日まで)のうち184検体の酸性ミルクオリゴ糖の解析を実施し,分娩前の飼料条件と酸性ミルクオリゴ糖含量との関連性を解析し,酸性ミルクオリゴ糖含量の変動要因を明らかにした。 初乳および移行乳中のラクトース濃度は,分娩1日目の初乳中濃度が最も低く,その後徐々に増加した。一方でグルコース濃度には時間の影響は認められず,一定の濃度で推移した。またガラクトース濃度は,初乳中濃度が最も高く,その後,徐々に減少した。本研究で分析した酸性ミルクオリゴ糖(6’-N-アセチルノイラミニルラクトース;6’-SL,3’-N-アセチルノイラミニルラクトース;3’-SL,ジシアリルラクトース;DSL,N-アセチルラクトサミン;LacNAc,6’-N-アセチルノイラミルラクトサミン;6’-SLN)は,初乳中濃度が最も多く,その後減少した。酸性オリゴ糖のうち,3’-SLが最も初乳中濃度が高く,0.17 mg/mLであり,次いで6’-SLN,LacNAc,DSLの順であったが,濃度は3’-SLよりワンオーダー低値であった(0.06,0.04,0.03 mg/mL)。また6’-SL濃度は最も低く0.009 mg/mLであった。3’-SLおよびDSL濃度は,急激に減少し,分娩後3日目には低値となったが,その他は徐々に減少した。また,3’-SL濃度は乾乳期間と正の相関が認められ,乾乳期間が短い個体では,初乳中3’-SL濃度は低値であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大により,試験に遅延が認められるが,遅れは取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
解析の遅れは取り戻しつつあり,また初乳および移行乳中の酸性オリゴ糖濃度変化の新たな知見も得つつある。令和4年度実施の飼養試験も開始出来ており,予定通り,酸性オリゴ糖の哺乳子牛への影響も検証できる予定である。
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