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本年度は、昨年度データ取得した初乳摂取及び非摂取（人工乳摂取）仔豚の肝臓のマイクロアレイ解析結果を解析した。また、ここまでに仔豚の生育を惹起する成分の主要な部分は乳清に含まれていることを明らかにしているが、乳清・初乳に関わらず、採取する母豚によって仔豚の生育刺激効果が異なりえることが実験を通じて明らかになってきた。これは母豚によって初乳の質が異なるためではないかと考えられたため、ここまでに絞り込んだ初乳の質に関わり得る成分に着目し、この成分の大きく異なる2つの初乳を仔豚に摂取させ、種々の要因への影響を検討した。
肝臓のマイクロアレイ解析の結果、様々なパスウェイで初乳摂取群と非摂取群の差が認められ、例えば、摂取群では解糖系/糖新生Glycolysis/Gluconeogenesisのパスウェイが亢進していた。さらに、解糖系からATP産生に繋がるPyruvate metabolismなどのパスウェイが亢進しており、初乳摂取群の仔ブタの肝臓では細胞内のエネルギー生産が増加していることが示唆された。
質が異なる初乳の摂取試験では、生後9時間で解剖を行ったが、この時点での体重や絨毛高、肝臓重量には大きな差は認められなかった。一方で、試行的に行ったRNA-Seqでは小腸粘膜及び肝臓の遺伝子発現レベルでは顕著に異なっており、小腸で112遺伝子、肝臓で55の遺伝子で有意な発現の違いが認められた。質が悪いと考えられる初乳を摂取した仔豚では肝臓における血清アミロイドの発現が良質と思われる初乳を摂取したものの200倍以上になっており、これは生育にネガティブな影響を与えるものと推察される。
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