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2020 年度 実績報告書

汎フィロウイルス治療薬開発に向けたドライ-ウェット融合型研究基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 20H03140
研究機関北海道大学

研究代表者

五十嵐 学  北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 准教授 (10374240)

研究分担者 広川 貴次  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (20357867)
阿部 貴志  新潟大学, 自然科学系, 教授 (30390628)
松野 啓太  北海道大学, 獣医学研究院, 講師 (40753306)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードフィロウイルス / エボラウイルス / マールブルグウイルス / 医薬分子設計 / 抗ウイルス薬 / 相互作用解析 / 分子動力学
研究実績の概要

フィロウイルスの粒子表面には単一のGPがあり、ウイルスの細胞への吸着、侵入および膜融合を担っている。ウイルスが細胞に侵入した後、GPは後期エンドソームで、宿主酵素によりトリミングされ、レセプター結合部位(RBS)が露出する。RBSが露出したGP(Cleaved GP: GPcl)は、エンドソーム受容体であるNiemann-Pick C1(NPC1)タンパク質に結合し、膜融合が起こる。近年、ザイールエボラウイルス(EBOV)の GPclとNPC1との複合体構造が決定され、NPC1-Cの2つのループ(loop 1とloop 2)がGPclと相互作用していることが明らかになった。また、これらの相互作用領域が、創薬標的となり得る可能性も示された。
一方、EBOV以外のフィロウイルスも、感染時はGPclがNPC1に結合する。すなわち、RBSは汎フィロウイルス治療薬の標的として機能する可能性がある。しかし、EBOV以外のフィロウイルスに関しては、NPC1とGPclとの結合構造についての知見はない。そこで本年度は、スーダンエボラウイルス(SUDV)およびマールブルグウイルス(RAVV)の構造情報を基に、SUDV GPcl-NPC1およびRAVV GPcl-NPC1の複合体構造をコンピュータ上で構築し、分子動力学計算を用いて相互作用解析を行った。その結果、結合構造はウイルス間でいくぶん違いがある一方、GPclとの結合に重要なNPC1上のアミノ酸残基は共通していた。また、EBOV同様、SUDVやRAVVでも、loop 1よりもloop 2の方がGPcl との結合に大きく寄与していることが明らかになった。現在、loop 2の配列/構造を基に、環状ペプチドを設計し、実験で阻害能を確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究代表者の不測の病気により、研究の遂行が困難となり、9月からの計算機解析(機能領域予測、医薬分子設計)を行うことができなかった。それに伴い、研究分担者が担当する機能解析実験による検証が行えなかった。

今後の研究の推進方策

本研究の解析には、公共データベースPDBおよびNCBIに登録されているエボラおよびマールブルグウイルスの立体構造および配列データを用いる。
(1) 近縁種のウイルス蛋白質に共通する相互作用/機能部位の推定
蛋白質間相互作用に重要な部位を検出する手法を確立する。また、予測・推定した領域の生物学的重要性を感染性ウイルスを用いない機能解析実験系で検証する。
(2) 相互作用/機能部位を標的とする医薬分子の設計
既存薬ライブラリー等の化合物データを用いて、標的部位の活性ポケットに結合する化合物をインシリコスクリーニングにより探索する。得られた分子について、蛋白質発現系を用いて阻害試験を行う。阻害活性が見られない場合は、計算機側にフィードバックし、再設計する。

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公開日: 2023-12-25  

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