研究課題/領域番号 |
20H03141
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 大貴 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 農学特定研究員 (60843216)
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研究分担者 |
谷口 智憲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40424163)
辻本 元 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60163804)
西村 亮平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80172708)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / 犬 / 固形腫瘍 / CAR-T細胞療法 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者が同定してきた犬固形腫瘍に特異的に過剰発現する標的抗原であるHER2およびGPC1、PDPNを標的としたキメラ抗原受容体CAR-T細胞製剤を、犬T細胞株を用いて作製し、その製材化を目指している。 当初、本年度は、分担者より分与された犬T細胞株の性状解析および、遺伝子改変によるCAR-T細胞製剤への応用性検証のための、in vitro, in vivo実験を予定していた。 しかし、今年度初頭より、急激に流行した新型コロナウィルス感染症に対する対策により、研究遂行面での大きな制約を受けた。申請者の所属する大学では、1度目の緊急事態宣言に伴い、数ヶ月間にわたって研究室での実験停止、遺伝子改変やin vivo実験など長期間かかる実験の計画変更をするよう通達された。また、研究室閉鎖に伴う実験中止のための活動や再開に伴う活動など予定外の業務が生じ、約半年間、実験室での十分な研究活動が困難であった。そこで、臨機応変に、在宅勤務にて遂行できるデータ解析や短期間で遂行可能な実験などに変更し、本研究目的の遂行に努めた。 犬T細胞株は分担者より分与を受け、性状解析の準備が整い、現在順次、解析を進めている。標的抗原のHER2に関しては、これまで同定していた犬膀胱癌や肛門嚢腺癌に加え、犬肺癌で高発現していることを発見した。これにより、対象癌腫の拡大が可能になった。PDPNに関しては、抗PDPN抗体単独での実験犬、症例犬への複数回投与を行い、標的エピトープの臨床的安全性が示された。また、標的抗原の発現機構や意義に関するin vitro解析も進め、PDPNが炎症環境で発現増強し、犬腫瘍の悪性化に関与していることを発見し、CAR-Tの標的として理想的な特徴を有していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症対策による影響を大きく受けたものの、研究計画を的確に軌道修正し、次年度からの検証実験のための体制が整ったことおよび本研究仮説を支持するいくつかの新しい発見があり、それらは国際誌に掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度、遺伝子改変実験やin vivo実験に必要な設備および材料、申請等が一通り完了したので、次年度は、犬T細胞株の遺伝子改変およびin vitro, in vivoでの仮説検証を進めていく。
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