研究実績の概要 |
代表者のin vivoの解析から80%のマウス精子幹細胞 (SSCs: Spermatogonial Stem Cells)は非分裂期にあることや、SSCsへと脱分化することが報告されている分化の進んだ前駆細胞(progenitor)の中でも前期Progenitorのみが、SSCsへと脱分化する可能性が強いことも明らかにしている (Suzuki S et al., 2021, Cell reports)。本研究では、精巣内のProgenitorで生じるSSCsへの脱分化誘導メカニズムの全貌解明を目的としている。昨年度作出した新たなレポーターマウスを解析したところ、本研究目的に合致したレポーターの発現が確認できた。一方で、代表者が所属する研究室に設置されたライブイメージング装置では、レポーターのシグナルが十分に検出できなかった。そこで、レポーターの発現を増加させるため、ホモ化した。その結果、レポーターのシグナルが十分検出できた。また代表者が確立したSSCsの生体外において、分化の抑制および脱分化の促進に関与していることが確認されたシグナル伝達経路を生体内での役割を確認した。さらに、代表者が既に発表している生体内のSSCsの分化もしくは脱分化に関与するmTORC1シグナル伝達経路(Suzuki S et al., 2021, Cell Rep)との関係性も確認した。その結果、新たなシグナル伝達経路とmTORC1シグナル伝達経路を両方抑制した場合、それぞれ単独で抑制した場合よりも、精子形成に大きな障害が起きていることを確認した。
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