研究課題/領域番号 |
20H03180
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 耕一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10262073)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リボソーム / tRNA分子擬態タンパク質 / タンパク質合成 / 翻訳終結 / 品質管理 / 分子遺伝学 |
研究実績の概要 |
本年度、分子遺伝学手法の特性などを考慮し計4年間で実施する研究の第二年度として、計画【1】の分子遺伝学的解析のパイロット実験から更に進んだ候補因子の同定に成功した。また、計画【2】の実践投入の予備的実験を踏まえた実験計画を継続して行なった。 【1】翻訳終結状態を識別する分子機構の分子遺伝学解析。 分子遺伝学的手法(forward/reverse genetics法)で、tRNA擬態蛋白質が関わる翻訳終結機構・蛋白質合成品質管理機構をモニターするアッセイ株の構築を行い、関連する新規因子およびその機能部位探索を実施した。得られた因子の既知因子(ASC1, S20等)については、Hel2相互作用ドメインの解明とその機能モデルを構築することができた(現在論文投稿中)。一方、新規な因子も同定され、その変異体がクラスターする領域を同定しつつある。 【2】 mRNA上の翻訳終結のための因子群の動態を可視化する新規手法開発 本研究計画では、正常・異常翻訳終結にかかわる因子群にRNA編集酵素を融合した因子を細胞内に導入することで、mRNA遺伝暗号読み枠上のどのような領域(配列コンテキストや、5’CAP-mRNA-polyA tail構造上の相対位置)でリボソームにアクセスするかを細胞全体のトランスクリプトーム上にマップすることができる。本年度は、昨年度につづき、目的タンパク質を用いたmRNA-seq解析に必要な遺伝子コンストラクト、発現系の構築を引続き進め、NGSによる解析のためのサンプル調整を試行錯誤した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画【1】の新規因子については、リボソームのデコーディングに関わる部位(Aサイト)近傍に位置する物があり、既知のユビキチン化メカニズムとは異なる作用機構が期待される。計画【2】とも合わせ、作用機序の解明に迫りたい。
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今後の研究の推進方策 |
計画【1】については引続き新規因子の探索と、これまでに明らかにした新規因子の機能解析を精力的に進めたい。【2】については、当初より何度は高いと予想しているため、引続き根気よく試行錯誤により条件の探索を諮るとともに、目的とする情報に関連する情報を得るための副手段などについても引続き検討していきたい。
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