研究課題/領域番号 |
20H03196
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
和田 啓 宮崎大学, 医学部, 准教授 (80379304)
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研究分担者 |
高橋 康弘 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10154874)
藤田 祐一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80222264)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鉄硫黄クラスター / X線結晶構造解析 / 窒素固定遺伝子群 |
研究実績の概要 |
鉄硫黄クラスター(Fe-S)は、酸素に脆弱なタンパク質コファクターである。Fe-Sクラスターは単純な構造だが、この生合成にはSUFマシナリーと呼ばれる大掛かりな蛋白質群を必要とする。本申請ではその"心臓部"といえるコア複合体に焦点をあてる。この複合体は ATP 加水分解に共役して、鉄と硫黄原子をFe-Sクラスターへ変換する。本研究の目的は、酸素に不安定なFe-Sクラスター合成超複合体の作動メカニズムの全容解明である。本年度は以下の項目を実施した。 (i) クラスター合成装置(SufB-SufC-SufD複合体)を無酸素条件下で精製した結果、緑茶色に提唱した複合体を得ることができした。このUV-VisスペクトルからFe-Sクラスターが結合していること強く示唆された。さらに、アポ型SufB-SufC-SufD複合体に鉄および硫黄源を添加し、精製することによって、SufB-SufC-SufD複合体に人工的にFe-Sクラスターを結合させることができた。 (ii)クラスター合成の中間段階の状態をトラップすることを目的に、アポ型SufB-SufC-SufD複合体と硫黄供与タンパク質群(SufSおよびSufE)を共存させ、システインを硫黄源として硫黄の伝達反応を行った。硫黄定量の結果、SufB-SufD-SufC複合体には複数個の硫黄が結合したことが分かった。 (iii)鉄硫黄クラスター結合型および硫黄結合型のクラスター合成装置に関して、無酸素条件下での結晶化条件スクリーニングを開始した。 (iv)窒素固定のマスターレギュレーターCnfRおよびClhRが結合するDNA配列をフットプリント法により解析し、それぞれが認識/結合する配列(30 bp程度)を決定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画において、「 無酸素条件下における"無細胞"クラスター合成系の確立」と「 窒素固定のマスターレギュレーターCnfR&ChlRの機能解析」を掲げていた。上記、実績の(i)~(iii)がクラスター合成系の確立に関する進捗であり、(iv)はChlRおよびChlRの機能解析に該当する。 新型コロナ感染症の影響により、専用ロボットのチップの輸入が遅れたが、納入後にはおおむね順調に進行した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の項目を進める。 ・機能状態のコア複合体の構造解析を進める。X線結晶構造解析に加え、クライオ電子顕微鏡を用いた解析も並行して進める。 ・窒素固定のマスターレギュレーターCnfRの構造解析を進める。これらのタンパク質の安定性が悪いことから、DNA結合型やFe-Sクラスター結合型など、ホロ型の作製。利用も踏まえて構造決定を目指す。
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