研究課題/領域番号 |
20H03207
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
木塚 康彦 岐阜大学, 高等研究院, 准教授 (20564743)
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研究分担者 |
中の 三弥子 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 准教授 (40397724)
中嶋 和紀 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 准教授 (10442998)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 糖鎖 / 糖転移酵素 / bisecting GlcNAc / がん / アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
本研究では、bisecting GlcNAc、beta1,6分岐の2つのN型糖鎖構造が標的タンパク質選択的に発現する機構、bisecting GlcNAcがタンパク質のリソソーム移行を抑制する機構を解明し、これらの糖鎖を合成するGnT-III, GnT-Vの阻害剤をデザインする。具体的には、1) 特異的レクチンを用いた標的糖タンパク質の網羅的同定、2) bisecting GlcNAcのリソソーム移行を制御する分子の同定、3) 構造をもとにしたGnT-Vのタンパク質選抜機構の解明、4) GnT-III, GnT-Vの阻害剤の開発、の4つの項目で研究を推進する。1)については、E4-PHAレクチンビーズを用いて脳より複数の標的糖タンパク質の同定に成功した。今後、その配列・構造共通性の有無を探索するとともに、他の臓器や他の酵素の標的タンパク質の同定を試みる。3)では、GnT-Vが標的タンパク質を選択するための新たな非触媒ドメインを見出した。このドメイン(Nドメイン)を欠損する変異体では、糖鎖に対する酵素活性は保持していたが、糖タンパク質に対する活性が激減することを見出した。4)については、有機化学的アプローチにより、GnT-Vの活性阻害剤の候補と考えられるUDP-GlcNAcのアナログ10種の合成が完了した。今後、各GnTに対する活性への効果をin vitroの酵素アッセイ系により検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、大きく分けて以下3つの知見を得ている。1)E4-PHAビーズを用いて脳より複数の標的糖タンパク質の同定に成功し、2)GnT-Vが標的タンパク質を選択するための新たなドメインを見出し、3)GnT-Vの活性阻害剤の候補と考えられるUDP-GlcNAcのアナログの合成が完了した。これらは当初の計画で予定していた内容であり、いずれも今後論文化が可能なものであることから、おおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、bisecting GlcNAc、beta1,6分岐の2つの糖鎖が標的タンパク質選択的に発現する機構、bisecting GlcNAcがタンパク質のリソソーム移行を抑制する機構を解明し、これらの糖鎖を合成するGnT-III, GnT-Vの阻害剤をデザインする。具体的には、1) 特異的レクチンを用いた標的糖タンパク質の網羅的同定、2) bisecting GlcNAcのリソソーム移行を制御する分子の同定、3) 構造をもとにしたGnT-Vのタンパク質選抜機構の解明、4) GnT-III, GnT-Vの阻害剤の開発、の4つの項目で研究を推進する。1)については、同定に成功した脳内のGnT-III修飾タンパク質について、その共通性の有無の解析を行なって論文を発表する。また他の臓器のGnT-IIIの標的タンパク質、およびGnT-Vの標的タンパク質の同定を行う。3)では、新たに見出したGnT-Vの標的タンパク質選択に必要なドメインについて、詳細を詰めたのちに論文化する。さらに類縁酵素であるGnT-IVa、IVbについての解析を行う。4)GnT-Vの活性阻害剤候補として合成したUDP-GlcNAcのアナログについて、その阻害効果を検証したのち、論文化する。
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