研究実績の概要 |
本研究では、大腸菌の複製起点oriC開裂(局所的一本鎖化)機構の普遍性の検討、また両方向複製の基盤となるDnaB導入の分子動態を解明すること、加えて複製開始ストレス時のレスキュー機構を解明すること、さらに、DnaAを適時的に活性化あるいは不活化する3系統の制御システム(DARS系, DDAH系, RIDA系)が細胞周期と連係する分子機構の解明を目的とする。まず、昨年度までの成果に基づき、大腸菌、および、進化的に大腸菌とは遠縁で起源生物に近縁とされる高度好熱菌における複製起点の開裂機構について、それぞれ、さらに詳細に解析を進め、それらの結果を統合的に総括した。これらによって我々が提唱してきたoriC開裂機構についての基本原理(ssDUE recruitment mechanism)が普遍性をもつことが示された。加えて各々の解析からはその機構的多様性も示された。これらの成果についてはそれぞれ論文投稿を行っている。さらに両方向複製の基盤となるDnaB導入に重要となる複製開始複合体の分子動態を明らかにし、結果を総括して論文発表した(J. Biol. Chem. 298(6): 102051 [1-16 pages])。さらに複製開始レスキュー機構に重要な因子についても昨年度までの成果に基づき解析を進めた。また、DARS2系では、昨年度までに重要な制御機構を解明し論文発表したが、この成果に基づき、さらに新たとなる制御系の機構解析を進行させた。DDAH系においては昨年までの成果に基づき引き続き制御機構の解析を詳細に進め、一部の制御因子を明らかにした。これらについては学会等で成果を発表した。
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