研究課題/領域番号 |
20H03213
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
森下 英晃 順天堂大学, 医学部, 講師 (90783499)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 選択的オートファジー / 細胞内品質管理 / リソソーム |
研究実績の概要 |
本課題は、選択的オートファジーの多様な機能を明らかにすることを目的としている。昨年度は主に培養細胞やマウスを用いて、選択的オートファジーの分子機構や生理的意義に関する研究を展開した。具体的には、液滴・ゲル様の構造体として集積した選択的基質の成分(ユビキチン化タンパク質やp62がコアを形成)を同定するため、肝細胞がん細胞株Huh-1(p62液滴に富む)をモデルとして、基質精製・標識法を確立した。さらに既知のさまざまな選択的オートファジーレセプターを各種タグで標識し、それらが細胞内のp62陽性構造体に集積することを確認した。その後p62陽性構造体の構成成分を精製し、最新鋭の質量分析計を用いて、p62陽性構造体に含まれるタンパク質群を網羅的に同定した。いずれの精製手法においても、既知の選択的基質やレセプターだけでなく、複数の新規構成因子を同定できており、これらの新規手法はp62陽性構造体に集積した新規基質候補の同定に有効と考えられた。さらに選択的オートファジー欠損マウス由来の肝臓の解析によるスクリーニングから、選択的オートファジーによって分解される複数の基質を同定できた。これらの基質分解に必要なレセプターも同定し、レセプターノックアウト細胞およびマウスを作製した。さらに新規基質の分解の生理的意義を解析するため、ゼブラフィッシュを用いた実験系の導入にも着手しており、飼育に必要な機器の導入を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた培養細胞を用いた新規基質同定法の開発に関しては、いくつかの新規基質の同定だけでなく、基質分解の分子メカニズムの解明まで着手できており、本プロジェクトはおおむね順調に進展しているといえる。またゼブラフィッシュの実験系の立ち上げも完了しており、選択的オートファジーの生理的意義の解析に向けた研究基盤を順調に整備できている。
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今後の研究の推進方策 |
現在開発中の培養細胞を用いた選択的オートファジーの新規基質同定法を用いて、各種ストレス下や各種細胞を用いた解析を進める予定である。さらにすでに同定されている新規基質に関しては、それらの分解の生理的意義を培養細胞や個体を用いて解析する予定である。
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