研究課題
KcsAチャネルの張力感受機構を解明するため、CBB法により膜張力制御下で変異体KcsAチャネルのシングルチャネル電流解析を行った。用いた変異体は、膜貫通ヘリックスの脂質二重膜表面付近に位置するトリプトファンの変異体と、N末端の両親媒性ヘリックス(M0ヘリックス)削除体である。それぞれの変異体を組み込んだ脂質二重膜の膜張力を単層(リーフレット)ごとに操作した。張力制御下でのシングルチャネル電流の開確率を解析したところ、すべての変異体の開確率は、野生型と同様に、細胞外側リーフレットの張力操作には影響されなかった。また、細胞質側リーフレットの張力操作に対する開確率の応答は、細胞質側に位置するトリプトファン変異体とM0ヘリックス削除体では減弱し、高い開確率となるにはより大きな張力を負荷する必要があることが分かった。これら変異体は、昨年度実施の蛍光標識を用いた張力負荷下における構造変化検出実験において影響が出た変異体と一致した。また、CBB法ベースの膜張力実験システムの汎用性を実証するため、KcsAとはタイプの異なるKチャネルのTRAAKチャネルを用い、張力制御下でのシングルチャネル電流解析を行った。TRAAKチャネルは張力によって開口(活性化)するチャネルとして知られているが、張力感知の分子機構については明らかになっていない。今回、リーフレットごとの張力制御により、TRAAKチャネルは細胞外側リーフレット張力には応答せず、細胞質側リーフレット張力のみに依存して活性化する結果が得られた。よって張力依存特性はKcsAチャネルと類似していることが明らかになった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.med.u-fukui.ac.jp/laboratory/molecular-neuroscience/