研究課題
基盤研究(B)
細胞膜の張力が膜タンパク質の機能に与える影響を解明するために、独自の脂質2重膜実験法(CBB法)を改良して、膜張力実験の基盤システムを構築した。このシステムを使って、代表的な膜タンパク質であるKcsAカリウムイオンチャネルの膜張力依存性を1分子レベルで詳しく調べた。その結果、張力によってKcsAチャネルが開口する際の構造変化や、KcsA分子内の張力を感知する部位についての新たな知見を得ることができた。
脂質2重膜を使ったチャネルタンパク質の機能解析
膜タンパク質は細胞の物質輸送や情報伝達の中心的な役割を果たす重要な分子である。従来、膜タンパク質の機能を制御する因子として、膜電位や化学修飾、信号分子の結合などが一般的に考えられてきた。私たちの研究により、代表的な膜タンパク質において、これまで明らかになっていなかった張力依存性とその仕組みが解明されたことで、膜張力という新たな制御因子が加わった。また、膜張力を考慮に入れて医薬品の膜タンパク質に対する作用機序を再評価することで、より精度の高い医薬品設計が可能になる。