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2022 年度 実績報告書

細菌べん毛モーター回転力発生機構の構造機能に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20H03220
研究機関名古屋大学

研究代表者

本間 道夫  名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (50209342)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードエネルギー変換 / 分子構築 / タンパク質構造 / 膜蛋白質
研究実績の概要

べん毛回転は、細胞膜上の固定子中をイオンが透過し、固定子-回転子間の相互作用が変化し、回転力が生じる。この回転モデルに対して、回転子タンパク質FliGと固定子タンパク質PomA間の相互作用を同定して、固定子と回転子がギアのように噛むような相互作用によって回転力をつくるモデルを提案し、その検証実験を継続した。超好熱細菌AquifexのMotAではナノディスクへの再構成は成功し、構造解析のリファインメントを行い、論文にした。また、我々の研究で主に使っている海洋性ビブリオ菌のPomAPomBに関して、クライオ電子顕微鏡による構造解析を前年度に引き続き行い、原子レベルの構造構築とそのリファインメントが終わり、ナトリウム結合部位について詳細に解析を行い、論文を作成中である。べん毛モーターの試験管内で、機能的なモーターの再構成形を構築するために必要なビブリオ菌由来のMSリングをFliFとFliGを融合したタンパク質を用いて、効率よく精製することに成功して、その結果を論文に投稿中である。FliFにGFPを結合して、MSリング構造を観察できることも示すことができた。このMSリングを膜に埋め込む実験を開始した。また、実際に固定子が回転しているかを検証する為に、GFPタンパク質をPomBに融合し、精製を行い、前年度AFM(原子間力顕微鏡)による観察を行ったが、構造を確認することはできなかった。本年度は、Hisタグを利用して、金粒子に結合することで、観察を行い、固定子の構造を電子顕微鏡とAFMで、固定子の構造を観察することはできるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一昨年に定年退職を迎えたが、研究員として、雑用がなくなり、大学で以前より研究に従事する時間が増え、研究をスムーズに進めることが可能となり、概ね順調に進展している。研究代表者の名前の入った英文の論文を昨年9報出すことができたことも、順調な進展を示している。特に、申請者が1997年に発見し、研究を続けているべん毛モーター固定子のクライオ電子顕微鏡による構造解析が完成したことは、本申請による研究推進を順調に進めるための大きな足掛かりとなる。また、現役時代に、学生に提案しても、やってもらえなかったGFPタンパク質をPomBに融合した固定子の精製を行い、効率よく精製できることを確認し、今後の実験を順調に進めるための基盤的な結果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

昨年度、べん毛固定子のクライオ電子顕微鏡での構造解析を行い、申請者が長年にわたって研究を進めているビブリオ菌PomAPomBの構造を明らかにすることができた。種々の変異体固定子を精製して、PomAPomB複合体の構造解析を行う予定である。PomBのペリプラズム領域の構造は、昨年度もその構造を検出しようと試みたが、構造を検出することができなかった。この問題を解決するために、PomBと相互作用して、固定子を安定化すると考えらているFliLとともに精製して構造を調べる。PomAPomB複合体は、膜に挿入されだだけでは、イオン透過活性はない。PomBのプラグ領域と呼ばれる部分がPomAのペリプラズム領域のループ領域と相互作用することで、回転が阻害されることで、無駄なイオンの流れを抑えているというモデルを一昨年度提案した。この活性化機構解明を昨年度に引き続き行う。ビブリオ菌由来のMSリングをFliFとFliGを融合したタンパク質を用いて、効率よく精製することに、昨年度、成功した。大量精製したMSリングとモーターの完全再構成を将来の目標としてことからFliG/FliM/FliNからなるCリングの大腸菌内において大量発現する系の構築、さらに、PomAPomB複合体をプロテアリポソームに再構成する実験を継続して行う。十分な量のリング構造が得られていることから、クライオ電子顕微鏡を用いた構造の解析も行っていく。

  • 研究成果

    (23件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The periplasmic domain of the ion-conducting stator of bacterial flagella regulates force generation.2022

    • 著者名/発表者名
      Homma M ,Kojima S.
    • 雑誌名

      Front. Microbiol.

      巻: 13 ページ: 869187

    • DOI

      10.3389/fmicb.2022.869187

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Formation of multiple flagella caused by a mutation of the flagellar rotor protein FliM in Vibrio alginolyticus.2022

    • 著者名/発表者名
      Homma M, Takekawa N,Fujiwara K,Hao Y,Onoue Y,Kojima, S.
    • 雑誌名

      Genes Cells

      巻: 27(9) ページ: 568-578

    • DOI

      10.1111/gtc.12975

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Function and Structure of FlaK, a Master Regulator of the Polar Flagellar Genes in MarineVibrio.2022

    • 著者名/発表者名
      Michio Homma,Tomoya Kobayakawa,Yuxi Hao,Tatsuro Nishikino,Seiji Kojima.
    • 雑誌名

      J Bacteriol.

      巻: 204(11) ページ: e0032022

    • DOI

      10.1128/jb.00320-22.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structure of MotA, a flagellar stator protein, from hyperthermophile.2022

    • 著者名/発表者名
      Tatsuro Nishikino, Norihiro Takekawa,Duy Phuoc Tran,Jun-Ichi Kishikawa,Mika Hirose,Sakura Onoe,Seiji Kojima,Michio Homma,Akio Kitao,Takayuki Kato, Katsumi Imada.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 631 ページ: 78-85

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2022.09.072

    • 査読あり
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌べん毛モーター固定子タンパク質PomBのCys変異導入によるプラグ領域の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      小岩大晃、寺島浩行、本間道夫、小嶋誠司
    • 学会等名
      日本生化学会中部支部会
  • [学会発表] 細菌べん毛の何がそんなに面白いの?べん毛研究との出会いと発展2022

    • 著者名/発表者名
      本間道夫
    • 学会等名
      生物物理若手の会「夏の学校」
    • 招待講演
  • [学会発表] Functional and structural analyses of FlaK,a master regulator of the genes involved in polar flagellar formation in marine Vivrio2022

    • 著者名/発表者名
      小嶋誠司、小早川友哉、ハオ雨希、錦野達郎、本間道夫
    • 学会等名
      日本生物物理学会年会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌におけるべん毛本数制御因子FlhFとMSリング構成因子FliFの相互作用解析2022

    • 著者名/発表者名
      福嶋優理亜、小嶋誠司、本間道夫
    • 学会等名
      日本生物物理学会年会
  • [学会発表] 細菌べん毛モーター基部体の多量体でリングを構築するFliFとFliG融合タンパク質の機能と構造2022

    • 著者名/発表者名
      本間道夫、錦野達郎、高橋幹士、福嶋優理亜、ハオ雨希、梶野洸樹、内橋貴之、小嶋誠司
    • 学会等名
      日本細菌学会中部支部総会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌極べん毛形成遺伝子群を制御するマスターレギュレーターFlaKの機能と構造の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小早川友哉、本間道夫、ハオ雨希、錦野達郎、小嶋誠司
    • 学会等名
      日本細菌学会中部支部総会
  • [学会発表] Vibrioべん毛モーターのMSリングとCリングの構成タンパク質FliFとFliGとの融合タンパク質を大腸菌で作らせる2022

    • 著者名/発表者名
      本間道夫、錦野達郎、高橋幹士、福嶋優理亜、ハオ雨希、 梶野洸樹、内橋貴之、小嶋誠司
    • 学会等名
      ビブリオシンポジウム
  • [学会発表] 細菌べん毛モーター基部体の多量体でリング構造を構築する FliF と FliG融合タンパク質の機能と構造2022

    • 著者名/発表者名
      本間 道夫、錦野 達郎、高橋 幹士、福嶋 優理亜、ハオ雨希、梶野 洸樹、内橋 貴之、小嶋 誠司
    • 学会等名
      日本細菌学会中部支部会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌極べん毛形成遺伝子群を制御するマスターレギュレーターFlaK の機能と構造の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小早川 友哉、本間 道夫、ハオ雨希、錦野 達郎、小嶋 誠司
    • 学会等名
      日本細菌学会中部支部会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌のべん毛MSリングタンパク質FliFの膜挿入に必要なSRP様GTPaseであるFlhFとの相互作用2022

    • 著者名/発表者名
      福嶋 優理亜、梶野 浩樹、本間 道夫、小嶋 誠司
    • 学会等名
      日本生化学会大会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌の極べん毛遺伝子群を制御しマスターレギュレーターとして働くAAA+ATPaseファミリータンパク質、FlaKの生化学的および機能的解析2022

    • 著者名/発表者名
      小早川友哉、ハオ 雨希、錦野 達郎、本間 道夫、小嶋 誠司
    • 学会等名
      日本生化学会大会
  • [学会発表] 細菌べん毛モーターエネルギー変換複合体の膜貫通領域とペプチドグリカン結合領域をつなぐリンカー領域の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      宮村優輔、錦野達郎、本間道夫、小嶋誠司
    • 学会等名
      日本生体エネルギー研究会
  • [学会発表] 部位特異的システイン修飾によるNa+駆動型べん毛モーター固定子タンパク質PomBのプラグ領域の機能制御2022

    • 著者名/発表者名
      小岩大晃、本間道夫、小嶋誠司
    • 学会等名
      日本生体エネルギー研究会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌におけるべん毛形成制御因子FlhFとMSリング構成因子FliFの相互作用2022

    • 著者名/発表者名
      福嶋優理亜、小嶋誠司、本間道夫
    • 学会等名
      日本細菌学会
  • [学会発表] Vibrio べん毛モーター構成因子 FliF と FliG との融合タンパク質を 用いた膜そう入 MS リング形成の解析2022

    • 著者名/発表者名
      本間道夫、錦野達郎、高橋幹士、福嶋優理亜、ハオ雨 希、梶野洸樹、内橋貴之、小嶋誠司
    • 学会等名
      日本細菌学会
  • [学会発表] Vibrioナトリウム駆動型べん毛のMSリングとCリング構成タンパクのFliF-FliG融合体によるモーターリング形成2022

    • 著者名/発表者名
      高橋幹士、錦野達郎、梶野洸樹、小嶋誠司、内橋貴之、本間道夫
    • 学会等名
      べん毛研究交流会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌べん毛モーター固定子PomBのプラグ領域変異体I50Cの機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      小岩大晃、本間道夫、小嶋誠司
    • 学会等名
      べん毛研究交流会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌べん毛モーター固定子タンパク質PomBのリンカー領域機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      宮村優輔、錦野達郎、本間道夫、小嶋誠司
    • 学会等名
      べん毛研究交流会
  • [学会発表] 海洋性ビブリオ菌べん毛モーター固定子PomB の プラグ領域変異体I50C を用いた固定子活性化の検討2022

    • 著者名/発表者名
      小岩大晃、本間道夫、小嶋誠司
    • 学会等名
      日本生物物理学会 中部支部講演会

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公開日: 2023-12-25  

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