細菌べん毛は、生物界において唯一の回転運動器官である。細胞膜に組み込まれたモーターが、イオン流入と共役して高速で回転する。膜超分子複合体であるこの超小型高速ナノマシンは、電気モーターなどと同じく、回転子と固定子から構成されており、それらの間で回転力を発生する。研究代表者のこれまでの研究蓄積をもとに、固定子と回転子のクライオ電子顕微鏡による構造解析と生化学的機能解析などから、回転子と固定子がタンパク質ギアのような働きによって回転力が作られるというモデルを提案することができた。また、固定子のプラグ領域がスパナのような機能によってイオン輸送の制御を行っているという新しいモデルを提案できた。
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