研究課題/領域番号 |
20H03221
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今村 博臣 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (20422545)
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研究分担者 |
今田 勝巳 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40346143)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 蛍光タンパク質 / イメージング |
研究実績の概要 |
①サンゴ由来GFPのRFPへの変換 サンゴ由来GFPであるAzamiGreenを出発材料とし、変異導入によってRFP化を試みた。既存のRFPにおいて保存性が高く、AzamiGreenや他のGFPでは保存性が低いアミノ酸残基に着目し、AzamiGreen中のこれらの残基をRFP型のアミノ酸残基に置換した様々な変異体を作製した。そのうちの1つが弱い赤色蛍光を発しており、AzamiRed0.1とした。AzamiRed0.1はAzamiGreenから35アミノ酸が置換されていたが、その中には赤色蛍光には必要ない、あるいは不適切な変異も含まれていると予想された。そこで、それぞれのアミノ酸残基を元のAzamiGreenに置換した変異体を作製し、赤色蛍光が維持あるいは強化される変異体を作製した。この作業を繰り返すことで、最終的にAzamiGreenから29アミノ酸が置換された、明るい赤色蛍光を示すAzamiRed1.0の創出に成功した。AzamiRed1.0の量子収率は約 65%であった。 ②AzamiRed1.0のX線結晶構造解析 AzamiRed1.0を結晶化し、SPring-8においてX線回折データを測定し、最終的に1.84オングストローム分解能で立体構造を決定した。全体の構造は既に報告されているAzamiGreenの立体構造と大きな差は無かったものの、蛍光団の向きやその周辺残基の側鎖のコンフォメーションに顕著な違いが観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定位通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①GFP由来RFPの単量体化:前年度に開発したGFP由来RFPは4量体であるため、タンパク質のイメージング用タグとしては不適当である。そこで、GFP由来RFPの4量体界面 に変異を導入することで、このタンパク質の単量体化を試みる。一般的に多量体のRFPは単量体化することで蛍光を失うことが知られているた め、単量体化した変異体に更に試験管内分子進化をおこなうことで、明るい単量体を得る。単量体化したGFP由来RFPを様々なタンパク質と融合 させて細胞イメージングをおこない、このタンパク質がイメージングタグとして十分利用できることを実証する。 ②GFPをRFP化するために必要な最低限の変異の同定:前年度に開発したGFP由来RFPは、GFPに29アミノ酸変異が導入されたものである。これらの変異うちRFP化に必須なアミノ酸を同定することで、 GFPをRFP化するために必要な最低限のアミノ酸変異を同定する。 ③異なるGFPのRFP化:前年度に開発したGFP由来RFPで導入した変異が他の生物種由来のGFPをRFP化出来るかを検証する。 ④GFP由来RFPのX線結晶構造解析:前年度に開発したGFP由来RFPのX線結晶構造解析を進めるほか、上記①および②で新たに開発するタンパク質についてもX線結晶構造解析をおこ なう。
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