研究課題
細胞膜の微小ドメイン構造(ラフト)は、膜タンパク質の機能調節に重要な役割を果たすと考えられている。研究代表者は、ラフト領域と非ラフト領域が明確に分かれているパターン化人工膜を用いて、膜タンパク質のラフト親和性を定量する手法を開発した。本研究は、人工膜と接する厚さ100nm以下のナノ空間に、細胞内のような高濃度のタンパク質やリガンドが存在する微小環境を再現し、それらと膜タンパク質との結合・解離を1分子蛍光観察で定量的に評価することを目的とする。2022年度には、①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製、②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成、に関する技術開発を行った。①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製:人工膜としては、光重合性リン脂質を光リソグラフィー技術でUV重合することでポリマー脂質膜を作製した。ナノ空間は、厚さの制御された接着層(高密度な親水性高分子鎖(高分子ブラシ)を被覆したシリカ微粒子)を用いて人工膜とPDMSを結合することで作製した。粒径100nmのナノ粒子を用いることで、流動性脂質膜部位の膜とPDMSの間に同程度の厚さを持つナノ空間が形成された。②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成:パターン化人工膜とPDMSとの間に形成されたナノ空間に細胞由来の膜小胞(エクソソーム)を導入し連続した2次元膜を形成する技術を開発した。エクソソームマーカーであるCD81、がんや発生に関与する分泌性タンパク質Wnt4を含むエクソソームを導入して、それらの分子が2次元拡散することを確認した。エクソソーム膜内に含まれる膜タンパク質の動的な挙動を調べる手法はこれまでになく、エクソソーム膜の2次元膜化技術はエクソソーム膜の膜タンパク質を解析する革新的な技術になるものと期待される。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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