研究課題/領域番号 |
20H03226
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
菅 倫寛 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (60634920)
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研究分担者 |
中島 芳樹 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (60847052)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光合成 / 膜タンパク質 / X線自由電子レーザー / 光化学系II / 水分解反応 |
研究実績の概要 |
光合成での水分解・酸素発生反応は光化学系II(PSII)内部のMn4CaO5クラスターが酸化状態を5段階(S0状態からS4状態へ)に順次変化させて触媒する。このうち,中間体S2状態は電磁性共鳴法により区別されるスピン状態の異なる2つの平衡状態があることが知られているが,構造解析されたのはスピン状態がS=1/2のもののみであり,スピン状態がS=5/2のものは解析されていない。そこで本研究ではPSIIのS=5/2のS2状態を調製して構造解析することを目指している。令和3年度は中間体状態が得ることを目的として,溶液のpHをアルカリ状態にしたものを調製して固定ターゲット法を用いて回折実験を行い,構造解析を進めた。光をあててS状態遷移させたもの、光を当てる前の状態のものなど複数の状態について調製してデータを収集した。解析の結果,溶液状態がアルカリ状態に変化したことに伴う立体構造の変化を確認することができた。また,時間分解シリアルフェムト秒構造解析を行ってS=1/2のものを室温で構造解析した。解析の結果,これまで凍結状態で確認されていたS=1/2状態での構造変化を確認したほか、新たに基質の水分子を取り込むためのチャネルと思われている水素結合のネットワークに変化が見られた。これは構造変化したところが水チャネルであることを示す証拠となるものである。この内容は論文にまとめIUCrJに発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で回折実験や構造解析に遅れが生じたが、R3年度に解析を進めるところまでできたから。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られている解析結果について再現性を確認するとともに論文にまとめる。
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