研究課題
基盤研究(B)
パーキンソン病発症と深く関係する蛋白質α-シヌクレイン(αSyn)の線維状異常凝集体(アミロイド線維)形成機構の解明を目指して、重水素化技術を駆使した中性子小角散乱及び中性子準弾性散乱の新しい測定・解析法を開発し、αSyn単量体の構造分布の導出及び構造ゆらぎの分子内領域レベルでの特徴づけを行った。測定結果から、この新しい解析法の有用性を示すと共に、アミロイド線維のなりやすさが異なる様々な条件での結果から、線維化の分子機構解明の手掛かりとなる、線維化開始のカギとなるふるまいを特定した。
生物物理学
本研究で開発された新しい解析法により、パーキンソン病発症に深く関係するαSynのアミロイド線維形成開始のカギとなるふるまいが特定された。これはαSynのアミロイド線維形成機構解明に向けた重要な手掛かりとなり、将来のパーキンソン病の予防・治療戦略策定に大きな貢献をなしうる重要な成果である。また、この解析法は、α-シヌクレインのみならず様々な蛋白質のアミロイド線維形成機構解明や変性状態の蛋白質の解析など、様々な展開へとつながる解析法であり、蛋白質科学の更なる発展に大きく貢献しうる方法である。