研究課題
脂肪肝はインスリン抵抗性や非アルコール性脂肪肝炎・肝ガンの原因である。これまでに食餌性肥満誘導マウス(DIOマウス)を用いて複数のオーム階層の網羅的な解析が行われてきた。本申請ではDIOマウスを用いて脂肪肝の多階層に跨る時系列データから多階層ネットワークを同定・数理モデルを作成することで肥満進行の全体像を理解するだけでなく、多階層オミクスデータの解析手法を開発することを目的としている。既に取得した5~20週齢の肥満誘導マウスとコントロールマウス、合計40個体の肝臓サンプルからエピゲノム(H3K4me3, H3K27ac)、トランスクリプトーム、リン酸化プロテオーム、メタボロームのデータを取得した。肥満誘導を行った肝臓サンプルからこれだけの時系列、オミクスデータを取得した例はなく貴重なリソースとなる。今後、プロテオームを取得し、データの解析を進める。また、健常マウスと肥満マウスを用いたトランスオミクス解析の比較により、健常状態と肥満状態における肝臓での血糖制御ネットワークの変化は非常に広範に及ぶことを明らかにした。また、微分方程式モデルによる階層間の統合手法を考案し、エピゲノム(H3K4me3, H3K27ac)とトランスクリプトームのデータで確認した。その結果、階層間の上流分子以外の寄与の有無と、寄与の開始時期を推定することができた。今後、トランスクリプトーム、プロテオームの階層へと拡張する。
3: やや遅れている
新型コロナウイルスの影響により研究協力機関からプロテオームの実施が困難との連絡があり、年度内に事業を完了することが困難となったため、プロテオームの取得遅延分遅れている。
今後の研究推進のため、引き続き研究計画に則り進めていく。
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Cell Reports
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