研究実績の概要 |
開発した新生ペプチド大規模解析技術pSNAP法(Uchiyama & Imami* et al., iScience 2022)やパルスSILAC法(Imami* et al., J. Biol. Chem. 2023)と種々の生化学濃縮技術を組み合わせることで、リン酸化、アセチル化、ミリストイル化などの共翻訳修飾を系統的に同定することが可能になった。まず、液液抽出法とLCにおける変則グラジエントを組み合わせることで、共翻訳修飾の一つであるN-ミリストイル化をプロテオームワイドに同定・定量する技術を確立した(Tsumagari & Imami* et al., Mol. Cell. Proteomics 2023)。本法を用いることで、既存のケミカルプローブを用いた手法よりも多くの内在性修飾とその修飾部位、また組織からも修飾を捉えることに成功している。さらに、簡便なピペットチップ型のN末端濃縮法を確立した(Morikawa et al., bioRxiv 2023, under revision)。これにより、low inputの新生鎖濃縮サンプルにも適用可能な高感度N末端アセチル化ペプチドの濃縮が可能となった。また、パルスSILAC法とリン酸化ペプチド濃縮法を組みあわせることで7,000種もの新生タンパク質リン酸化部位を同定した。責任キナーゼも同定し、新生リン酸化修飾はタンパク質の安定性を制御しうることを明らかにした(未発表)。以上本課題により、次のステージである共翻訳修飾の機能的意義の解明に繋げる技術を創出できた。
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