研究課題
基盤研究(B)
深層学習(Deep Learning)を利用することで、今まで困難だったマウス胚発生の3次元時系列蛍光顕微鏡画像から細胞の移動・分裂の両者を高精度にトラッキングする画像処理アルゴリズムを開発した。既存のトラッキングアルゴリズムでは細胞の移動と分裂を同時に検出することが困難であり、細胞分裂トラッキングの精度は非常に低くなってしまうといった問題点があった。本研究課題では、深層学習と整数計画法を組み合わせたトラッキングアルゴリズムを開発し、40細胞期までの正確な細胞追跡を行うことに成功した。
定量生物学
学術的意義として、当研究課題で開発したOHモデルおよびMHモデルは細胞分裂を含む細胞動態を90%近い精度で細胞追跡を行うことに成功し、初期マウス発生過程における胚の1細胞ごとの動態を定量的に比較することが可能であることが示された点が挙げられる。社会的意義としては本研究課題で提案された細胞追跡アルゴリズムを用いることで、経験的に定められた指標に代わる、産仔作出能との関連性が高い「胚の質を評価し得る指標」の確立が期待される点が挙げられる。