研究課題
研究項目1 BARドメイン集合の臨界濃度および重合速度測定と影響する因子の探索申請者らは、GAS7にCFPとYFPを融合させたタンパク質を用いて、脂質膜存在下でのみ、CFP-GAS7とYFP-GAS7の間にFRETを観察する事に成功している。このFRETを用いて、本研究項目では、GAS7の集合機構を調べるとともに、同様の手法を他の構造既知のFBP17のF-BARドメインなどに適用した。2021年度は、最適な脂質膜の脂質組成の検討とラグタイムや臨界濃度測定を行い、ラグタイムはほとんどないこと、また、臨海濃度は解離定数であるマイクロモル程度よりも低いことがわかった。さらに、重合の速さと脂質膜の結合力の関連を調べた。上記で検討した人工脂質膜との結合を、リポソーム共沈法など従来用いられてきた方法で検討し、相関していることがわかった。GAS7などほとんどのBARドメインを持つタンパク質はSH3ドメインを持ち、SH3ドメインを介して、アクチン重合を司るN-WASPやWAVEなどのポリプロリン配列に結合する。ポリプロリン配列は、複数のSH3ドメインと結合が可能であるので、N-WASPがGAS7の集合を促進する可能性がある。逆に、 BARタンパク質の膜上での集合は、N-WASPの膜への局在化を促進する可能性がある。したがって、N-WASPおよびBARタンパク質の膜上での局在量をリポソーム共沈法などで調べたところ、重合の促進に寄与することがわかった。研究項目2 BARドメイン分子集合によるタンパク質酵素活性変換GAS7やN-WASPのファゴサイトーシスカップにおける共局在を調べ、共局在していることを見出した。また、共発言ベクターを用いて、CFP-GAS7bとYFP-GAS7bを細胞に一定の量比で発現させ、細胞内でFRETを観察できることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
FRETによりBARドメインの重合程度を定量できる系を確立し、さらに、その制御因子を見出し再構成に成功しているため。
細胞内でのFRETを調べることにより、再構成による知見が、細胞内でも成り立つことを調べる。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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