BARドメインは、タンパク質の立体構造に応じた脂質膜の曲率を生成するタンパク質ドメインとして普遍的かつ重要である。脂質膜の曲率を形成するためには、BARドメインが脂質膜上で、多量体を形成することが必須であると考えられている。本研究では、多量体形成の時間発展を、試験管内FRETを用いた多量体形成の経時観察を中心として明らかにし、その集合が数秒で生じることがわかった。多量体形成を促進する因子として、BARタンパク質が併せ持つSH3ドメインに注目し、多数のSH3ドメインが同時に結合できるポリプロリン配列を持つWASPファミリータンパク質などが、液液相分離様の機構で多量体形成を誘導することを発見した。
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