研究課題
基盤研究(B)
酸化ストレスにより障害を受けたミトコンドリアは膜電位が低下し,最終的にオートファジー機構により選択的に排斥される(ミトコンドリア品質管理の機構)。しかし,ミトコンドリアの品質管理機構を細胞がどのように調節しているかについては,まだ多くの不明な点が残る。私達は,ミトコンドリアに関連する解糖系や低酸素条件が品質管理に与える影響を検討し,解糖系酵素のミトコンドリア局在機構と品質管理への寄与,そして低酸素でのミトコンドリアのユビキチン化亢進を明らかにした。
分子細胞生物学
本研究では,細胞内外の多様な環境変化に起因する異なるシグナル経路に着目して,ミトコンドリア機能の調節機構を明らかにしようとする点が特徴であり,特にミトコンドリアの代謝経路の上流である解糖系および下流の酸素消費との関連性を検証した点がユニークである。本研究で得られる結果は,ミトコンドリアの機能と品質管理の理解に寄与するだけでなく,PINK1やParkinを原因遺伝子とする遺伝性パーキンソン病の発症メカニズムを理解する一助となることが期待される。