研究課題/領域番号 |
20H03264
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 伸 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 研究教授 (90512004)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 四肢再生 / リプログラミング / 神経因子 / FGF |
研究実績の概要 |
これまでの研究でメキシコサラマンダーにおいて四肢再生を含む器官レベルの再生を誘導できる分子FGF2+FGF8+BMP2(またはBMP7)を同定した。この成果によって、具体的に分子を起点とした下流因子の動態を調査することができるようになった。しかし、in vivo環境下で当該分子を効かせても、対象となる細胞種は多種多様であり、その多様な環境下では満足に遺伝子比較実験が遂行できない。この問題に対し、広島大学の林利憲教授の助言の元、有尾両生類細胞の最適な培養条件を整えることで、極めて純粋度の高い細胞集団を得ることができた。均質な細胞集団と具体的な誘導因子の2条件がそろったことで、再生機能に重要な働きを持つ遺伝子ネットワークの探索に具体的に手が届く状態を作ることができた。このアドバンテージを最大限に生かし、再生誘導因子が駆動する遺伝子動態を明らかにすることを目的にした。本年度は培養細胞を用いた再生条件下と非再生条件下における遺伝子発現比較解析を主に遂行した。もともと47遺伝子まで絞り込みができていたが、47全てを解析対象とすることはメキシコサラマンダーでは難しい。したがって解析可能な数までの絞り込みが急務であった。この絞り込みは単に発現変動の激しかったものという事ではなく、非再生動物の培養細胞系でも並行して行うことで、非再生動物において駆動されない遺伝子発現という側面から別の選抜要員を与えることで行った。結果、6遺伝子まで絞り込むことができた。絞り込んだ遺伝子の機能解析に向けて現在研究を進めている
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
再生誘導因子によって駆動される遺伝子の選定が終了し、Pde4bをはじめ検証可能な3因子(選定因子は6因子)を絞り込むことができた。それぞれCRISPR/Cas9によって遺伝子機能破壊系統の創出に取り掛かっている。当該遺伝子が生存・発生に重篤な影響がない限り2年内にF1世代を生み出すことができると期待される。それぞれの遺伝子機能破壊個体の解析もPde4bの機能解析で行う事項に沿って行うことを計画している。Pde4bの機能解析が極めて順調に進んでいることから、当初計画を超えて解析を進められていることを勘案し(1)当初の計画以上に進展している という自己評価に至る。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進んでいるため、このまま当初計画を超えて遺伝子の機能解析に進む。絞り込んだ各遺伝子の機能解析が終了次第論文化をすすめる。
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