研究課題/領域番号 |
20H03275
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
西浜 竜一 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 教授 (70283455)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Raf様キナーゼ / 光合成 / シグナル伝達 / 糖代謝 / ゼニゴケ |
研究実績の概要 |
PRAFのPB1ドメインの代わりに、別のタンパク質由来の多量体化ドメインであるSAMドメインを付加したところ、糖代謝や光合成依存的なリン酸化において部分的にPB1ドメインの機能を代替できることがわかった。このことから、PRAFの機能発揮にはホモ多量体化することが重要であり、他のPB1ドメインタンパク質と相互作用することはあまり重要でないことが示唆された。 praf変異体において、PB1ドメインを欠失させたmCitrine融合PRAFタンパク質(PRAFdPB1-mCitrine)を発現する株を用いて顕微鏡観察を行ったところ、PB1ドメインは顆粒状の局在には不要であることが示された。昨年度の結果と合わせて、PRAFのホモ多量体化と顆粒形成には関係性がないことが示唆された。 PRAF顆粒がどのような生理的条件で形成されるのか調べるために、光条件を変化させて局在解析を行った。明所から暗所に移すことで顆粒が消失すること、その後光照射をすることにより顆粒が再形成されることが明らかとなり、PRAF顆粒は明暗条件で制御的に形成されることが示唆された。 praf変異体を用いた光合成依存的プロテオーム解析データをこれまでとは異なるプログラムで解析し直したところ、2つの翻訳制御タンパク質が候補として同定された。これらのタイプの翻訳制御因子は動物においてはストレス顆粒に局在することが知られており、PRAFの光合成依存的な翻訳制御への関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室を新たに立ち上げた初年度であり、研究室セットアップをしながら研究を行った。研究に欠かせない蛍光顕微鏡を別の科研費との合算で購入した。 研究補助員も雇用して研究を加速させたが、依然として当初の計画からはやや遅れているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
PRAF顆粒はPB1ドメインを介した多量体化で形成されるものではないことが示唆されたため、構造機能解析により顆粒形成に必要なPRAFタンパク質の領域を特定する。それに関してPRAFタンパク質の大部分が天然変性領域であることが推測されたため、液ー液相分離による顆粒形成を検討する。 PRAFの標的因子として翻訳制御因子が見つかったことから、光合成依存的な翻訳制御に着目して研究を進める。 PRAF結合因子の探索に関しては、近接依存性標識法を適用していく。そのために必要な生物材料を準備する。
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