研究課題/領域番号 |
20H03276
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
橋本 隆 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80180826)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 微小管 / リン酸化 / チューブリン / 乾燥ストレス / ゼニゴケ |
研究実績の概要 |
大腸菌で発現・精製した組換えPHS1タンパク質を用いて実験を行った。キナーゼの基質であるチューブリンはブタ脳から精製し、αチューブリンリン酸化T349 に特異的な抗体を用いてリン酸化チューブリン活性を検出した。予備実験(活性化PHS1のリン酸化プロテオーム解析)により、キナーゼドメイン近傍の保存されたチロシン残基Y422が自己リン酸化される可能性が示唆されたので、この残基の非リン酸化変異PHS1(Y422F)を作成したところ、in vitroでは自己リン酸化活性が20%、チューブリンリン酸化活性が25%に低下した。植物体におけるこのチロシン残基の機能を非リン酸化変異型PHS1(Y422F)をphs1ヌル変異株に発現させ、チューブリンリン酸化をストレス処理の有無の生育条件下で調べたところ、変異株発現系統と野生型ゼニゴケのチューブリンリン酸化反応に大きな違いが見られなかった。Y422はPHS1の活性制御に顕著な役割を果たしていないと結論した。 0.1Mソルビトール処理により短い仮根を多数形成し、葉状体の生育が停止するという乾燥ストレス反応が低下したT-DNA挿入ゼニゴケ変異株を選抜した。4786株から最終的に8株の候補系統を得た。これらの候補株はPHS1変異株アレルではなかった。ストレス応答性のチューブリンリン酸化を調べたところ、1株のみ野生型の半分弱に反応が低下していた。この株では、T-DNAはゼニゴケSWEET様トランスポーター近傍に挿入されており、該当SWEET様遺伝子は野生型に比較して非常に高発現していた。この変異株の表現型が該当SWEET様遺伝子の高発現に起因しているか、さらなる検証が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した実験は年度内に終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、PHS1タンパク質のドメイン構成や活性制御機構をin vitroにおける生化学的実験で調べてゆく。
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