研究課題
独立栄養生物である植物は、土中から無機栄養素を吸収し、太陽光のエネルギーを最大限利用して化学エネルギーに変換することで無機物から有機物を獲得する。一方、過剰な光は植物に損傷を与えるため、太陽光は諸刃の剣である。光合成機能に必要なオルガネラ(葉緑体や緑葉ペルオキシソームなど)は光合成の過程で絶えずダメージを受けており、それらの品質維持・新陳代謝の破綻は植物を死に導く。申請者は最近、植物が光合成を行なう中でオートファジーを発動し、植物特異的オルガネラの品質管理を行うことで細胞内浄化を図り、恒常性を維持していることを見出している。本研究では、オートファジーがどの様にして異常オルガネラを認識し、それを過不足なく分解するのか、その機構を分子レベルで明らかにすることを目的としており、今年度は以下の課題を推進した。オートファゴソームに基質の選択性を付与するユビキチン様オートファジータンパク質ATG8に着目し、ATG8と相互作用するペルオキシソーム関連タンパク質をの候補を3つ同定したが、その中の一つの候補タンパク質にFLAGタグを融合させ、GFP-ATG8e発現atg2変異体に導入し、その植物体から全タンパク質を抽出して、FLAG抗体を用いて免疫沈降実験を行った。その結果、GFP-ATG8eおよび内在性ATG8eが共免疫沈降してくる予備的データを得ることができた。また、その候補タンパク質をコードする遺伝子のT-DNA挿入変異体を取得した。現在、本T-DNA挿入変異体とペルオキシソーム局在GFPを発現させた植物を交配させ、緑葉ペルオキシソームの挙動観察の準備を進めている。
2: おおむね順調に進展している
ATG8と相互作用するペルオキシソーム関連タンパク質をの候補を同定し、生化学的解析によりその相互作用を確認する予備的データを得ることができたため、おおむね順調に進展している。
候補タンパク質をコードする遺伝子のT-DNA 挿入変異体を取得し、緑葉ペルオキシソームの挙動を観察する。候補が異常ペルオキシソームの選択性に関与するレセプター・アダプターであった場合、その変異体ではatg 変異体と同様の表現型、つまり、緑葉ペルオキシソームの高蓄積を示すはずである。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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