研究課題
傷害ストレスは細胞リプログラミングを誘導し、器官再生を促進するが、その分子機構は断片的にしか理解されていない。私たちは最近傷害ストレスが高温ストレスと一部共通した遺伝子発現変化を起こすことを見出しており、本研究ではこの知見をもとに傷害応答性の細胞リプログラミングを制御する転写制御機構の解明を進めることを目的とした。特に組織培養系を用いて細胞リプログラミングに関与する傷害シグナル受容後初期の転写制御ネットワークを明らかにすることと、葉肉プロトプラストの培養系を用いてこれらの制御因子の最終分化細胞からのリプログラミングにおける機能を明らかにすることを目指した。今年度はこれまでに注目してきた傷害シグナル受容直後に働く転写制御ネットワークの機能検証を進め、特に鍵となる転写因子が幹細胞化に関与する遺伝子群を直接誘導することをRNAseq、ChIPseq及びゲルシフトアッセイによって示した。さらに、これらの転写制御関係を遺伝学的に検証するため、上流転写因子の過剰発現体に下流因子の機能欠損体を掛け合わせ、過剰発現体の表現型が下流因子の機能欠損によって軽減することを見出した。また逆に上流転写因子の機能欠損体に下流因子の過剰発現体を掛け合わせたところ、表現型が一部回復することも判明した。これらの結果は、傷害によって活性化する上流転写因子が幹細胞化の主要因子を誘導するという転写制御関係を支持するものである。また、これらの転写制御因子が高度に分化した細胞からのリプログラミングにも関与するかどうかを葉肉プロトプラストの実験系を用いて検討したところ、いくつかの因子の機能欠損体ではリプログラミング効率が著しく低下することが分かった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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