研究課題
申請者は、PINタンパク質が細胞膜上で、多量体様の構造を形成すること(以下、PINクラスター)、ならびに、PINクラスターが微小管とは排他的に局在することを独自に見出した。本研究計画においては、PINクラスターの生理機能や、他植物種における保存性について解析を行うことを計画している。本年度は、発生過程におけるPINクラスターの挙動を明らかにするために、蛍光マーカーらインの確立を行った。シロイヌナズナにおいては、PIN2と、クラスター形成を制御する因子MAB4に注目し、PIN2-Venusと、MAB4-CFPの共発現体の作出を行った。現在、PIN2-VenusとMAB4-CFPをホモに発現するラインの作出を行っている。一方、ゼニゴケにおいては、以前、作出したPIN1の蛍光マーカーらインの数が、実際の実験に十分ではなかったことから、PIN1GFP発現体の作出を行った。その結果、ゼニゴケpin1変異体を相補可能な蛍光マーカーらインを、合計4ライン作出することに成功した。また、予備的な実験として、以前作出したPIN1-Citrineラインの観察も行った。その結果、無性芽においてはPINは、維管束植物とは異なり、明確な極性局在は観察されなかった。今後、本年度作出したPIN1-GFPの観察を行い、本知見や、PINクラスター形成の有無を確認するとともに、ゼニゴケ胞子などの発生過程におけるPIN1の局在を詳細に観察する予定である。
3: やや遅れている
2020年度より、東北大学から北海道大学に異動しました。研究計画には、シロイヌナズナやゼニゴケを用いた研究を計画していましたが、所属研究室にはそれらの育成環境が十分に整っておらず、その整備に多くの時間がさかれ、研究のスタートアップに時間がかかりました。また、コロナ禍になり、研究室の滞在時間も限られ、実験する時間が十分にとることができませんでした。
未だ、実験環境が十分に整えることができてはいないものの、最低限の実験環境は整った。そこで、本年度は、従来計画していいた実験を行う。技術補佐員のサポートを得て効率的な実験を行うことを心がけ、当初の研究計画の達成を目指す。
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