研究課題
本研究では、多次元ライブセルイメージングと機械学習を活用した画像解析技術に基づいて、植物の気孔開閉運動を司るH+-ATPaseの細胞膜への局在化(細胞膜輸送)機構の全貌解明を目指した。気孔開口を駆動するH+-ATPase AHA1の細胞膜輸送に必須の因子であるPATROL1およびその相互作用因子群に注目し、それらの三次元分布および共局在性を多次元ライブセルイメージングにより描出した。特に、気孔応答を制御するPATROL1依存的なAHA1の細胞膜輸送機構の解明に資する、取得画像群から膜小胞と微小管を高精度に検出・評価する機械学習技術を活用した定量的な解析手法の開発に注力した。PATROL1、微小管、PATROL1相互作用候補因子(膜交通関連因子)の細胞内動態をスピニングディスク式共焦点顕微鏡により画像取得した。取得画像から、機械学習を援用した画像解析を介して小胞の密度や微小管の配向、揃い具合、長さなどの特徴量を計測するとともに、これらの共局在性を定量的に評価した。また、膜交通関連因子を秒オーダーでの経時観察したところ、細胞膜近傍における膜小胞の滞在時間や、膜小胞に局在する順序に違いが観察された。そこで、多色動画像を取得し、滞在時間と局在順序に関しても定量評価を行った。技術的な検討として、微小管構造の定量評価のためのセグメンテーションに関して、既存の閾値設定による手法と深層学習を活用した手法の比較検証を実施した。その結果、微小管の配向や揃い具合については両者に大きな差異は認められなかったが、密度に関しては深層学習に基づくセグメンテーションを介した方が精度が高いことが判明した。また、深層学習による顕微鏡画像の画質復元についても検討し、観察実験における光毒性の軽減に役立つ可能性が示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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